「911 ターボS」に匹敵の出力荷重比! アリエル・ノマド 2へ試乗 昆虫のような足さばき

公開 : 2024.09.07 19:05

適度に重く落ち着いたステアリングへ自信が湧く

ダッシュボードの雰囲気は、少し大人っぽくなった。空間にもゆとりがある。運転姿勢は、相変わらず完璧。シートの位置はボルトを緩めて変更できる。ペダルボックスは動かない。

運転席の正面には、カラーLCDのメーターパネル。スイッチ類が整然と並ぶ。自分がノマドと一体になったような、ピタッとハマった感覚が好ましい。

アリエル・ノマド 2(英国仕様)
アリエル・ノマド 2(英国仕様)

斜め前方には、ゴールドに染まったダンパーのリザーバータンクが見える。背もたれのすぐ後ろで、リアサスペンションが動く。

スタートボタンを押すと、2.3Lユニットがズバンと始動。クラッチペダルは滑らかに動き、ハードコアな見た目と一致しない。正確でしなやかな、ノマドの運転体験と重なる。

オールテレーン・タイヤを履くから、ステアリングホイールの感触は、ケータハムのように生々しくない。しかし反応は正確で、適度に重く落ち着いている。すぐに、操る自信が湧いてくる。

濡れたワインディングは、通常なら抑えて走りたいもの。フロントタイヤが不意に流れることがある。ところが、ノマド 2なら緊張感は低い。小柄だからライン取りには自由度があり、リカバリーもしやすい。

そして圧巻なほど速い。エンジンの印象を探るため、309psを開放する場面もあったが、263psでも充分すぎるほどパワフルだ。

路面がドライなら、ブロックパターンのトレッドは不足ないトラクションを生み出す。それでも、7段階から選べるトラクション・コントロールはうれしい機能。ABSも標準装備で、スタビリティ・コントロールは開発中らしい。

昆虫のような足さばき Vの字を描くような旋回

エンジンの吹け上がりはさほどシャープではなく、エグゾーストノートは低音が中心。中回転域になるとターボノイズが重なり、豊かなトルクが湧き出る。その特徴は、ノマド Mk2の個性にマッチしている。

レッドラインが迫ると、徐々にパワーはフェードアウトしていく。それでも、退屈さは微塵もない。ノマド Mk2を飛ばしていると、人生が素晴らしく思えてくる。純粋でおおらかなマシンで、地上を移動するという時間へ夢中になる。

アリエル・ノマド 2(英国仕様)
アリエル・ノマド 2(英国仕様)

ホイールは、16インチも選択できる。18インチでも、長大なサスペンション・ストロークと高度なダンパーが、路面の不整を吸収。その足さばきは、昆虫のようだ。

大きな荷重移動と程々のグリップ力、舞うような身のこなしを身体で覚えたら、ノマド 2の真価へ迫れる。控え目にブレーキングし、ステアリングホイールを切り、アクセルペダルを徐々に傾けていれば、穏やかなアンダーステアでカーブをすり抜けるだけ。

思い切りブレーキペダルを押し込み、手首を弾かせ、直後に右足を蹴り出す。ノマド 2は、喜んでVの字を描くように旋回してみせる。

バランスとタイミングが一致すれば、エンジンの荷重が載るリアは、フロントノーズを軸に僅かにスライド。その瞬間にトルクを展開することで、爽快な脱出加速を引き出せる。しなやかな姿勢制御で、一連を簡単に導ける。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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