EV需要鈍化で「ハイブリッド」投入 フィアット600 1.2 100HPへ試乗 眼差しの割に走りは活発

公開 : 2024.09.08 19:05

500に似たクロスオーバーの600へ、1.2L 3気筒のHV登場 100psの数字以上に走りは活発 強力な回生ブレーキ 乗り心地は基本的に良好 訴求力あるスピンオフ作だと英編集部は評価

1.2L 3気筒のマイルド・ハイブリッド登場

少し眠たそうな目つきのヘッドライトがカワイイ、フィアット600。フロントマスクが、ピクサー映画のカーズに登場するクルマのキャラクターへ似て見えるのは、筆者だけだろうか。あちらは、フロントガラスが目だが。

この600は当初、600eを名乗るバッテリーEVのみの設定で英国市場へ投入された。しかし需要の鈍化を受け、ハイブリッド・パワートレインの導入も決まったようだ。CO2排出量の枠組みの中でだが、大手自動車メーカーといえども、背に腹は代えられない。

フィアット600 1.2 100HP ハイブリッド・ラ・プリマ(英国仕様)
フィアット600 1.2 100HP ハイブリッド・ラ・プリマ(英国仕様)

600は、同クラスのジープアベンジャーとプラットフォームを共有しているが、パワートレインも同様。ステランティス・グループに属する、シトロエンプジョーの小型モデルでも、おなじみのユニットだ。

1.2L 3気筒ガソリン・ターボエンジンに、電圧48Vで稼働する電気モーターと、0.9kWhという小さな駆動用バッテリーが組み合わされている。マイルド・ハイブリッドで、最高出力は100ps。追って、135psのパワフルな仕様も登場予定にある。

この電気モーターは28psの能力を持つが、最高出力には影響を与えないという。低域でのトルクをアシストし、システム総合では20.8kg-mの最大トルクを発揮する。

数字以上に走りは活発 強力な回生ブレーキ

決してパワフルなモーターとはいえないものの、運転してみると、100psの数字から想像する以上に600は活発。エンジンの回転数が高まる前に、スルスルと加速していく。中間加速もたくましく、0-100km/h加速が10.9秒に留まることを疑うほど鋭い。

ただし、高速道路の速度域に達すると、そんな印象は薄れてしまう。3気筒ターボエンジンは、洗練されているわけではなく、高負荷時には少し荒っぽいノイズも放つようだ。

フィアット600 1.2 100HP ハイブリッド・ラ・プリマ(英国仕様)
フィアット600 1.2 100HP ハイブリッド・ラ・プリマ(英国仕様)

前輪駆動で、トランスミッションは6速オートマティック。加速時は、最適なギアの選択に悩むような場面があった。

マイルド・ハイブリッドとしては、アクセルオフ時の回生ブレーキが強力。右足を緩めるたび、エンジンの回転数が落ちる前に、カクンと減速が始まる印象だった。容量の小さい駆動用バッテリーの充電量を、可能な限り高く保つための制御だろう。

これは、滑らかな速度調整には適さないとしても、エネルギー効率には大きく貢献している様子。今回の試乗では、20.4km/Lのカタログ値へ近い平均燃費を得られた。

ステアリングホイールは軽く回せ、入り組んだ市街地ではキビキビと扱いやすい。そのかわり、感触はあまり優れない。ブレーキペダルの踏み応えには、もう少しソリッド感があって良いだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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