ドイツの工業力が生んだ「狂気」の自動車デザイン ゲルマン魂が光る奇妙なクルマ 30選 後編

公開 : 2024.09.07 18:25

アウディA2(2000年)

アルミ製ボディと驚異的な低燃費という点で、A2は時代を先取りしていたといえる。2001年にデザイン賞を受賞した後、アウディはA2について「1つのガソリンタンクで4人をシュトゥットガルトからミラノまで運ぶ」ことを目指したとコメントしている。

デザインを担当したのは、ランボルギーニムルシエラゴも手掛けたルク・ドンカーヴォルケである。両者とも、狂気的な要素がある。A2の「食パン」のようなデザインは賛否両論を巻き起こし、それ以来アウディはこのようなクルマを生み出していない。

アウディA2(2000年)
アウディA2(2000年)

アウディ・ローゼマイヤー(2000年)

アウディのスーパーカーの歴史は1974年の100Sクーペ・スペチアーレから始まった。その後、ピエトロ・フルアやピニンファリーナといった企業が奇抜なデザインを手がけた。2000年には、1930年代のアウトウニオンの「シルバーアロー」に敬意を表したロゼマイヤー・コンセプトが登場。アヴス・コンセプトと並ぶブガッティのルーツである。

このデザインを担当したのは、1984年にインターンとしてアウディに入社したステファン・シーラフだ。彼はすぐに出世し、インテリアデザイン部門のトップとなった。最も有名なインテリアデザインはアウディA7に採用されている。

アウディ・ローゼマイヤー(2000年)
アウディ・ローゼマイヤー(2000年)

ローテック・シリウス(2001年)

レーシングドライバーであったクルト・ロッターシュミットは、1962年にレーシングカー製造に特化したローテック(Lotec)を設立。その後、ポルシェのチューニング、フェラーリメルセデス・ベンツのアフターマーケット用エアロパーツの生産に注力する。ローテック初のモデルは1995年のC1000だが、スーパーカー界に火をつけるには至らなかった。

2001年にシリウスが登場したが、非常に高価だったこともあり、年間わずか5台しか生産されなかった。そのデザインはケーニグセグCCに似ているが、どこか狂気を感じさせる。2008年にシリウスの改良型のスケッチが公開されたが、生産されることはなかった。

ローテック・シリウス(2001年)
ローテック・シリウス(2001年)

アウディRSQ(2004年)

RSQは、2004年に公開された映画『アイ, ロボット(原題:I, Robot)』で主人公が乗るクルマとして製作されたコンセプトカーだが、そのデザインの一部はアウディR8に影響を与えた。

2007年のB8型A4や2011年の8U型Q3のエクステリアを手がけたことでも知られるジュリアン・ヘニッヒがデザインしたRSQは、2035年を舞台にしたSF映画の世界観によくマッチしている。

アウディRSQ(2004年)
アウディRSQ(2004年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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