ドイツの工業力が生んだ「狂気」の自動車デザイン ゲルマン魂が光る奇妙なクルマ 30選 後編

公開 : 2024.09.07 18:25

イズデラ・アウトバーン・クリエール116i(2006年)

驚異的なデザインを生み出すことで知られるイズデラは、2006年にさらに一歩進んで116iを発表した。1930年代のロングノーズ・スーパーセダンとも言うべきデザインだ。ベースのシャシーはメルセデス・ベンツW126型Sクラスで、エンジンは同じくメルセデス・ベンツの「W117」を2基搭載している。

排気量にして10L、最高出力は600psに達する。デザイナーであるエーベルハルト・シュルツは、ブガッティ・ロワイヤルとメルセデス・ベンツ540kアウトバーン・クリエールから多のインスピレーションを得た。彼自身にとっては「引退」プロジェクトであり、116iはすべての条件を満たしていた。

イズデラ・アウトバーン・クリエール116i(2006年)
イズデラ・アウトバーン・クリエール116i(2006年)

BMW GINA(2008年)

ほとんどのクルマは何らかの固形素材で作られているが、BMW GINAはファブリック表皮で覆われており、「変形」が可能だ。この2ドア・スポーツカーは、クーペ・フィアットアルファ・ロメオ145のデザインで知られる自動車デザイナー、クリス・バングルの作品である。彼のデザインは2009年までのBMWの全ラインナップでも見ることができる。

バングルは、GINAによってデザイン部門は「既存の原則と従来のプロセスに挑戦することができた」と主張している。GINAとは、「Geometry and functions In ‘N’ Adaptions( “N” によって適合する形態と機能)」の略である。

BMW GINA(2008年)
BMW GINA(2008年)

フォルクスワーゲンXL1(2013年)

XL1には3人のデザイナーが関わった。その外観はペンギンにインスパイアされたという憶測が流れたが、デザイナーの1人であるピーター・ウーダはこれを否定し、サメにインスパイアされたと主張した。XL1の目標は、軽油1Lで100km走行することだった。

量産に入る前、2003年型、2009年型のタンデムL1、2011年型のXL1の3段階のコンセプトがある。2011年のコンセプトからほとんど変更されることなく、2013年モデルとして2012年に生産が開始された。2代目デザイナーであるクラウス・ツィシオラは現在のフォルクスワーゲンIDシリーズのデザインで知られ、3代目デザイナーのトーマス・インゲンラートはポールスター1および2でよく知られている。

フォルクスワーゲンXL1(2013年)
フォルクスワーゲンXL1(2013年)

BMW i3(2014年)

デザイナーのリチャード・キムは、BMW のE84型X1のエクステリアデザインで知られる。2011年、BMWはEVに特化した「i」ブランドを設立した。キムは2005年からBMWに所属しており、「i」の一員として電動化の未来をスケッチすることになった。

最初に彼がデザインしたのは、メガ・シティ・ビークル(MCV)としても知られるi3だ。エクステリアデザインで目指したのは、直線的なライン、水平ライン、垂直ラインをより多く作り出すことだった。

BMW i3(2014年)
BMW i3(2014年)

インテリアに異なる素材や形状を用いることで、乗員をリラックスさせ、「エネルギーレベルのバランスをとる」ように設計されている。i3は2022年に生産を終了したが、今日のBMWのEVラインナップへの道を切り開いた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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