BMW Z4 詳細データテスト 希少なMTで味わえる柔軟なエンジン 直感的でない可変ステアリング

公開 : 2024.08.31 20:25

Z4に追加された待望のMT車は、当代随一の直6との組み合わせで、クラシカルなBMWを思わせる心地いいドライブが味わえます。ただし、可変ステアリングやタイヤ選択がハンドリングの楽しさをスポイルしてしまっています。

はじめに

自動車業界では、イタリア語の車名はよく見えるというのが定説だ。もし、マセラティがGTサルーンをフォードアと銘打ったら、今ほどエキゾティックなクルマに思えただろうか?フェラーリのマネッティーノを単に小さなスイッチと呼んだら、積極的に触れたいものとなるだろうか?フィアットの小型車がタイプという名だったら、強くは印象に残らなかったかもしれない。

BMWは、同じようなことをドイツ語で試みた。今回テストするZ4は、ハントシャルターパックという仕様だ。ハントシャルターとは、ハンドシフター、すなわちマニュアルトランスミッションを意味する。登場から6年を経た現行Z4だが、6気筒モデルに6速MTを積むのはこれがはじめて。英国で販売されるBMWのMT車は、M2と218iグランクーペ、そしてこのZ4のみだ。

テスト車:BMW Z4 M40iウィズ・ハントシャルターパック
テスト車:BMW Z4 M40iウィズ・ハントシャルターパック    JACK HARRISON

新車市場では3ペダルが激減しているだけに、追加導入は流れに沿わない決定だが、普通ではないのはそのことだけではない。このハントシャルターパックを選ぶと、スペックが限定されてしまうのだ。マット塗装のフローズン・ディープグリーンにブラウンレザーを用いるコニャック内装、グロスブラックのトリムという、テスト車と同じ仕様のみの設定なのである。

とにかくリスクを嫌う昨今の自動車業界にあって、ほかとは違うことをするメーカーは歓迎せずにいられない。とはいえ、それだけでクルマの良し悪しを決めないのがオートカーのロードテストだ。エンスージアスト向けとはいえ、単なるマニア受け物件ではなく、6年を経たドイツ製ロードスターのカンフル剤になりうるモデルなのかを、しっかり見極めていこう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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