BMW Z4 詳細データテスト 希少なMTで味わえる柔軟なエンジン 直感的でない可変ステアリング

公開 : 2024.08.31 20:25

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

G29こと3代目Z4は2018年に発売され、Z4としてもBMWとしても変化のときを迎えた。複雑で重いフォールディングハードトップを捨て、昔ながらのソフトトップへ回帰したのである。

また、Z3や初代Z4にあったクーペ仕様は用意されなかったが、これは兄弟車としてトヨタスープラが登場したからだ。スタイリングやインテリアは異なるが、BMW製のハードウェアをほぼ流用している。

エンジンは、通常のM40iと同じ仕様。現行Z4の6気筒モデルに、6速MTを積むのはこれがはじめてだ。
エンジンは、通常のM40iと同じ仕様。現行Z4の6気筒モデルに、6速MTを積むのはこれがはじめてだ。    JACK HARRISON

そして、いずれもオーストリアのグラーツに居を構えるマグナ・シュタイアが生産を担当する。トヨタは直6モデルにMTを追加設定しており、BMWもこれにならうことが予想されていた。

スタイリングは、BMWとしては珍しく、1970年代のE12型5シリーズ以来の定番ともいえる横並びの4灯ヘッドライトを採用していない。クラムシェルボンネットとウェッジシェイプも、BMWの慣例から外れた要素だ。

その後、BMWが施したデザイン改修はほんのわずかで、2022年にキドニーグリルの形状を変更した程度。現在のBMWのラインナップにおいては、珍しいほど控えめなルックスだ。

ハントシャルターパックは、ベースとなるM40iと識別できるビジュアル要素が採用されている。内外装色以外で、まず目につくのがホイールだ。リアのみ20インチとなり、タイヤはフロントが255幅、リアが285幅のミシュラン・パイロット・スーパースポーツを履く。

サスペンションやディファレンシャル、スタビリティコントロールも専用チューン。ハードウェアはほとんどベース車と同じで、前後ともマルチリンクにコイルスプリングとアダプティブダンパーの組み合わせだ。ハントシャルターパックは、前後とも補助スプリングが装着され、フロントスタビライザーのクランプが補強されている。

電子制御LSDや、可変レシオのステアリングラックも装備。ダンパーとステアリング、ディファレンシャルのソフトウェアが再チューンされ、ハンドリングをよりシャープに仕立てている。

エンジンは手が入っていない。エントリーレベルのsドライブ20iは、おなじみB48型2.0L直4ターボガソリン、M40iには、こちらも慣れ親しんだB58型3.0L直6を搭載。いずれも、標準仕様は8速ATとの組み合わせだ。

新たなMTは、ギアセットとシャフトにM仕様のコンポーネンツを組み込んだモジュラーユニットで、B58エンジンに適合させ、Z4に合わせたギアのリンケージを備える。ギア比とファイナルは、M2のMT仕様と同じものだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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