BMW Z4 詳細データテスト 希少なMTで味わえる柔軟なエンジン 直感的でない可変ステアリング

公開 : 2024.08.31 20:25

内装 ★★★★★★★★★☆

最近、タッチディスプレイへの依存度を高めているBMWだが、Z4のインテリアは登場時から特に変更を受けていない。型遅れ感はあるが、それも悪いことばかりではない。

われわれは、BMWの最新ユーザーインターフェイスを批判しているが、Z4に乗るとその理由を思い出させてくれる。旧世代寄りの内装には、空調操作に特化した操作ボタンやロッカースイッチや、手応えがよくブラインド操作しやすいiドライブコントローラー、ダッシュボードに8つ並んだ設定変更できるショートカットボタンが備わり、室内のエルゴノミクスや使いやすさは模範的だ。

6年前から変わらないデザインや装備はやや古臭く見えるかもしれないが、タッチ画面依存度が高まった最新世代に比べて走行中の操作性は格段に上だ。
6年前から変わらないデザインや装備はやや古臭く見えるかもしれないが、タッチ画面依存度が高まった最新世代に比べて走行中の操作性は格段に上だ。    JACK HARRISON

細かいセッティングにはタッチ画面を用いることもできるが、走行中に使いたいものはすべてに実体式の操作系が用意されている。なお、デジタルのメーターパネルは速度計と回転計が六角形のような形状となるもので、相変わらず見やすいとは言い難い。

デザインとマテリアルは、最新のBMWと異なり、ライトアップ付きプラスティックに固執してはいない。ドアやダッシュボードに使用されるややラフなラバー引きのマテリアルは、高級感をアピールするものではない。とはいえ、価格帯を考えれば妥当ではある。そして、ドライビングに集中できるよう、かなりわかりやすく、無駄な飾りのない室内環境に仕上げられている。

ドライビングポジションは、いかにも目的がはっきりとしたものだ。レッグルームに制限があるロードスターもちらほらみられるが、Z4は背が高いドライバーが昔ながらの脚を伸ばした着座姿勢をとっても窮屈さを感じさせない。シフトレバーのポジションは、スープラより前方で、自然に操作できる配置だ。

同じプラットフォームのBMWに共通することだが、右ハンドル仕様はペダルが右へオフセットしている。とはいえ、間隔は十分にある。位置関係にもすぐ慣れてしまうし、その後は気持ちよく操作できるようになる。

当然というべきか、比較的コンパクトなキャビンなので、ストレージスペースは限られるが、そのわずかな空間を効率的に使っている。ドアポケットは小さく、シートの背後も狭いが、シフトレバー前方にはスマートフォンのワイヤレス充電器が据え付けられ、アームレストの下にはドリンクホルダーふたつと小物入れが隠れている。

左右シートバックの間には、スキーハッチを兼ねた収納スペースもある。荷室は、この手のクルマとしては驚くほど奥行きがある。また、ソフトトップは荷室の上に収納スペースがあるので、オープン時にも積載容量は減少しない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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