高級感と無縁 ゴルフ GTI(Mk1) 気張ってもアンダーステア アストラ GTE 初代から5代目 比較試乗(1-2)

公開 : 2024.09.14 17:46

挑発的に手足を動かしてもアンダーステア

インテリアの印象も、こちらが勝る。スピードとタコの2枚の他に、補機メーターも4枚、メーターパネルへ整列。フォグランプ・スイッチや時計も備わり、マルチ・カセットテープラックがセンターコンソールに奢られている。

サンルーフを開いて、風に髪をなびかせながら、大音量で聞くのはヒューイ・ルイス&ザ・ニュース。現役時代は、友人とは違う特別さを提供したはず。こんな雰囲気が、走りへの期待を高める。

ヴォグゾール(オペル)・アストラ GTE(Mk1/1983〜1984年/欧州仕様)
ヴォグゾールオペル)・アストラ GTE(Mk1/1983〜1984年/欧州仕様)

今回の車両を提供してくれたのは、ヴォグゾールのヘリテージ部門。新車のように状態は良い。日常的な速度域では、ゴルフ GTIより扱いやすい。エンジンのレスポンスは若干鈍く、シフトレバーの動きは緩めだが、豊かなトルクで交通の流れに合わせやすい。

アクセルペダルを深く踏めば、動力性能の本域が現れる。シャシーは懐が深く、許容量は広い。ステアリングにパワーアシストは備わらないものの、反応は正確。重めの感触がちょうどいい。

それでも、エンジンサウンドは控え目。運転体験では、ゴルフ GTIの方が優れることは明らかだ。かなり挑発的に手足を動かしても、コーナリングはアンダーステア。ドライバーへ安心感を与える特性ながら、ホットハッチらしい大胆さまでは備わらない。

登場が8年古い前期型だとしても、この2台で優劣を付けるなら、ゴルフ GTI Mk1が僅差で制するだろう。普段使いのしやすさや希少性も踏まえると、アストラ GTEにも相当な訴求力を筆者は感じるけれど。

協力:ヴォグゾール・モーターズ社、英国自動車博物館

VWゴルフ GTI(Mk1)とヴォグゾール・アストラ GTE 2台のスペック

フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI(Mk1/1975〜1983年/欧州仕様)

英国価格:7156ポンド(1983年時)/3万ポンド(約570万円/現在)以下
生産数:45万6690台
最高速度:181km/h
0-100km/h加速:8.9秒
燃費:9.5km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:810kg
パワートレイン:直列4気筒1588cc 自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:109ps/6100rpm
最大トルク:13.9kg-m/5000rpm
トランスミッション:4速マニュアル(前輪駆動)

ヴォグゾール(オペル)・アストラ GTE(Mk1/1983〜1984年/欧州仕様)

英国価格:6739ポンド(1983年時)/2万5000ポンド(約475万円/現在)以下
生産数:9281台
最高速度:181km/h
0-96km/h加速:8.5秒
燃費:10.3km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:925kg
パワートレイン:直列4気筒1796cc 自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:116ps/5800rpm
最大トルク:13.9kg-m/4800rpm
トランスミッション:5速マニュアル(前輪駆動)

フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI(Mk1/1975〜1983年/欧州仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI(Mk1/1975〜1983年/欧州仕様)

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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