完璧バランスの「快適性と操縦性」 トヨタ・カローラ・スポーツへ英国試乗 1.8Lでも充分活発!

公開 : 2024.09.09 19:05

小改良を受けたカローラ・スポーツ 躍動的で洗練されたスタイリング 製造品質や堅牢性の高いインテリア 1.8Lでも充分活発 乗り心地と操縦性のバランスは完璧 英国編集部が評価

躍動的で洗練された12代目のスタイリング

ご長寿モデルとして広く知られる、トヨタカローラ。初代の発売は1966年に遡る。だが、2008年以降はしばらく提供が止まっていた。新鮮さが薄れたという理由で、オーリスの名で売られていたからだ。

しかし、名前は問題ではなかった。当時のCEO、豊田章男氏のリーダーシップのもと、2019年にカローラは復活。その12代目は、同クラスの欧州製ハッチバックと互角に渡り合える実力を獲得し、グレートブリテン島でも頻繁に見かける人気モデルとなった。

トヨタ・カローラ・ハッチバック(カローラ・スポーツ)1.8ハイブリッド(英国仕様)
トヨタ・カローラ・ハッチバック(カローラ・スポーツ)1.8ハイブリッド(英国仕様)

クルマの買い替えでは、ついSUVを考えがちだが、現行のカローラ(カローラ・スポーツ)はハンサム。2023年にはアップデートを受け、訴求力も増している。小さめのサイズをお考えなら、検討候補へ加えて欲しい1台だ。

カローラ・スポーツの基礎骨格をなすのは、TNGAプラットフォーム。優れたエネルギー効率と操縦性を生み出す、重要な基盤となっている。

オーリス時代との比較で、重心高は10mmダウンし、ボディ剛性は60%アップ。このクラスでは珍しく、リアサスペンションにはマルチリンク式が奢られる。

スタイリングは、不自然な癖がなく、躍動的で洗練性を感じるもの。長さは40mm、幅は30mm広がったが、全高は25mm低くバランスが良い。フォルクスワーゲン・ゴルフと、ホンダシビックの間くらいの大きさだ。

2023年のフェイスリフトでヘッドライトなどへ手が加えられ、英国仕様ではアルミホイールの選択肢も更新。上級グレードはアダプティブLEDヘッドライトで、デイライトが内臓される。

製造品質や堅牢性の高いインテリア

パワートレインは、1.8Lか2.0Lエンジンが主体のトヨタ式ハイブリッド。主に駆動用として働くものと、無段変速とスターター・ジェネレーターの役目を担うもの、2基の電気モーターが組み合わされる。

アップデートでは、この電気モーターの能力が引き上げられた。1.8L用のユニットは、72psから108psへ増強。英国仕様では、システム総合で140psを発揮する。2.0L用は95psから112psへ増え、システム総合で195psを得た。

トヨタ・カローラ・ハッチバック(カローラ・スポーツ)1.8ハイブリッド(英国仕様)
トヨタ・カローラ・ハッチバック(カローラ・スポーツ)1.8ハイブリッド(英国仕様)

駆動用バッテリーも、ニッケル水素からリチウムイオンへ変更。リアシートの下側に搭載される。

車内空間は、デザインや素材の上質さに際立つ部分はなくても、製造品質や堅牢性は高い。相当に手荒く扱っても、10年くらいは平気で耐えそうに見える。

エアコン用だけでなく、トラクション・コントロールやサイドブレーキにも実際に押せるハードボタンが用意され、扱いやすい。シートヒーターのスイッチも、手袋のまま押せるサイズがある。

一方、ドアポケットやカップホルダーは小さめ。上級グレードでスマートフォンのワイヤレス充電パッドになる部分は、中級グレード以下では浅いトレイになる。

荷室容量は、1.8Lで361L。2.0Lでは、12Vの補機バッテリーが荷室側に載るため、313Lへ減じる。後席の背もたれは40:60の分割で倒せるが、このクラスでは広い方とはいえない。

後席側の空間も狭めといえる。余裕を求めるなら、ステーションワゴンのカローラ・ツーリングを検討したい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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