完璧バランスの「快適性と操縦性」 トヨタ・カローラ・スポーツへ英国試乗 1.8Lでも充分活発!

公開 : 2024.09.09 19:05

1.8Lでも充分活発なハイブリッド

フェイスリフト後は、10.5インチ・タッチモニターが標準に。スマートコネクト+と呼ばれるインフォテインメント・システムが実装され、グラフィックは鮮明で、メニュー構造は理解しやすい。メーター用モニターは、広範囲で任意に変更できる。

ただし、再生メディアとナビを同時に表示できる画面モードはなく、ショートカットキーは、スマートフォンと連携させると消えてしまう。運転支援システムの項目では独自の略語が多用され、淡白なモノトーン表示なのが惜しい。

トヨタ・カローラ・ハッチバック(カローラ・スポーツ)1.8ハイブリッド(英国仕様)
トヨタカローラ・ハッチバック(カローラ・スポーツ)1.8ハイブリッド(英国仕様)

公道へ出てみると、1.8Lでもカローラ・スポーツは活発。0-100km/h加速は、計測したところ9.4秒で処理した。

エンジンサウンドは聴き応えがあるわけではなく、e-CVTが高回転域をキープしがちだが、加速力には余裕があり、遮音性も悪くない。走行中に生じる、エンジンの始動・停止も気になりにくい。

交差点では、電気モーターだけで勢いよく発進してみせる。巡航速度になったら、様子を見ながら右足を傾けることで、エンジンの始動を遅らせられる。

これで物足りない場合は、マニュアルモードが追加される、2.0Lで195psの「パフォーマンス」ハイブリッドを英国では選択可能。0-100km/h加速は7.4秒が主張される。とはいえ、トヨタ式ハイブリッドらしく、日常的な走行シーンが最も好印象だが。

ドライバーが変速しても、反応は穏やか。GRカローラの弟のように、エキサイティングなハッチバックになるわけではない。

直感的で全体が調和した操縦性 快適性も高い

e-CVTの強みは、圧倒的な滑らかさ。段付きの変速がなく、アクセルペダルの角度に応じてパワーが素早く提供される。バッテリーEVへ迫るほど、シームレスといってもいい。アップデート後は回転数が抑えられ、一層穏やかに運転できるようになった。

EVモードはあるが、駆動用バッテリーが小さいため、基本的にはシステム任せの方がベター。回生ブレーキも備わる。シフトセレクターをBにすると、エンジンブレーキも強く効くようになる。

トヨタ・カローラ・ハッチバック(カローラ・スポーツ)1.8ハイブリッド(英国仕様)
トヨタ・カローラ・ハッチバック(カローラ・スポーツ)1.8ハイブリッド(英国仕様)

カローラ・スポーツ最大の強みが、直感的で全体が調和した操縦性。トヨタの技術者がコストを抑えつつ、このクラスで最も動的能力に優れたモデルへしようとした努力は、試乗直後から伝わってくる。

横方向のグリップ力に優れ、コーナリングバランスは良好。自然で安定した姿勢制御と、鮮明な身のこなしを実現させている。

サスペンション・スプリングは、恐らく競合より柔らかい側にあるが、コーナリングは驚くほどフラット。ステアリングは適度に重くダイレクトで、濃くはないが、手のひらへ感触も伝わってくる。

回頭性は機敏でありつつ、反応は予想しやすい。素直に身をこなし、意のままに運転しやすい。

乗り心地も褒められる。荒れた路面での快適性を重視するなら、ホイールは16インチがベストかもしれない。少しロードノイズは大きめながら、シートも心地良く、長距離ドライブ後の疲労感はライバルより小さいだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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