目指すはWRC「グループA」 ゴルフ・ラリー(Mk2) x デルタ・インテグラーレ 初代から5代目 比較試乗(2)

公開 : 2024.09.15 17:45

異なるエンジンの印象 ドラマチックな加速

デルタ HFインテグラーレ 8Vへ乗り換える。イエローが差し色のメーターパネルと、リムの太いステアリングホイールに気持ちが高ぶる。運転姿勢は、腕を伸ばし、膝を曲げたイタリアン・スタイル。内装には、1980年代のモダニズムが香る。

シートのサポート性は、ゴルフ G60ラリーの方が優れる。エンジンはリビルドを受けたばかりで、まだ250kmしか走っていない。それでもパワーを解き放って欲しいと、静かに訴えているように感じる。

フォルクスワーゲン・ゴルフ G60ラリー(Mk2/1989〜1992年/欧州仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフ G60ラリー(Mk2/1989〜1992年/欧州仕様)

ステアリングは遥かにクイック。腕の延長のように、シャシーと意思疎通ができる。路面のニュアンスが、脳へ伝わる。ボディの動きは引き締まり、グリップ力は勝り、ゴルフ G60ラリーより高速に公道を駆け回れることは間違いない。

エンジンの印象は、さらに異なる。アイドリング時から好戦的で、ツインカムのメカノイズが重なる。回転上昇と同時に、ターボチャージャーの高音もクレッシェンドしていく。

3500rpmから5000rpmのパワー感は、背中を押されるように豪快。速度上昇が、これほどドラマチックに感じられるモデルは多くない。

この2台に優劣を付けるのは難しい。ゴルフ G60ラリーは、ラリー・ホモロゲーションだと感じさせないほど、日常のオールラウンダー。動力性能に優れ、シャシーは一般道との相性が良く、洗練度も高い。

他方、デルタ HFインテグラーレは、WRCで多くの勝利を収めた理由を普段使いでも感じ取れる。筆者なら、しばらく悩んで、こちらへ1ポイントを与えるだろう。

協力:タンク・バラット社

ゴルフ G60ラリー(Mk2)とデルタ HFインテグラーレ 2台のスペック

フォルクスワーゲン・ゴルフ G60ラリー(Mk2/1989〜1992年/欧州仕様)

英国価格:1万8235ポンド(新車時)/3万5000ポンド(約665万円/現在)以下
生産数:5000台
最高速度:209km/h
0-96km/h加速:7.6秒
燃費:10.7km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1195kg
パワートレイン:直列4気筒1763cc スーパーチャージャーSOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:162ps/5600rpm
最大トルク:22.9kg-m/4000rpm
トランスミッション:5速マニュアル(四輪駆動)

ランチア・デルタ HFインテグラーレ 8V(1987〜1989年/欧州仕様)

英国価格:1万5920ポンド(新車時)/4万5000ポンド(約855万円/現在)以下
生産数:9841台
最高速度:215km/h
0-96km/h加速:6.6秒
燃費:10.7km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1215kg
パワートレイン:直列4気筒1995cc ターボチャージャーDOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:187ps/5300rpm
最大トルク:30.9kg-m/3500rpm
トランスミッション:5速マニュアル(四輪駆動)

ランチア・デルタ HFインテグラーレ 8V(1987〜1989年/欧州仕様)
ランチア・デルタ HFインテグラーレ 8V(1987〜1989年/欧州仕様)

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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