V6/ボクサー4の「小さな」高級 ゴルフ VR6(Mk3) x インプレッサ・ターボ 初代から5代目 比較試乗(3)

公開 : 2024.09.15 17:46

ゲームチェンジャーといえたインプレッサ

インプレッサは洗練度で及ばなくても、能力の高さには唸らされる。サスペンションのストロークは長く、荒れたアスファルトでも乗り心地は良好。路面変化による揺れは小さくないが、ボディロールは抑制されている。

四輪駆動システムは、フロントアクスルを軸にしてボディを旋回させる。フォード・シエラ・コスワースや、ランチア・デルタ HFインテグラーレのように。それなのに、スポーツワゴンのリアシート後方には、大きな犬を載せられる荷室も付いている。

スバル・インプレッサ 2000ターボ・スポーツワゴン(1994〜2000年/英国仕様)
スバル・インプレッサ 2000ターボ・スポーツワゴン(1994〜2000年/英国仕様)

低く屈んだ1994ccの水平対向4気筒ターボエンジンは、パワーとキャラクターでVR6に並ぶ。何しろ、かのEJユニットだ。

2500rpmからトルクが沸き立ち、4000rpmまで、現代的なスポーツカーへ劣らない勢いの加速を生み出す。活発に走るにはブースト圧を保つ必要があるとはいえ、回転フィールは上質。荒々しさは微塵もない。

この2台が積むエンジンはどちらも素晴らしいが、技術的に興味深いのはゴルフ VR6だろう。3代目の販売は少し苦戦したとはいえ、洗練という新境地へ踏み出した。

それでも、ゲームチェンジャーといえる存在だったのはインプレッサだ。比較的手頃な価格で、扱いやすいサイズに優れたパッケージングを実現している。実用性と動的能力を、ここまで高次元で叶えたモデルは他に例がなかったといっていい。

フォルクスワーゲンは、数年後にゴルフ VR6のシャシーを引き締めている。有能なインプレッサを参考にして。

協力:ロンドン・ロード社、クラシック・コネクション社

ゴルフ VR6(Mk3)とインプレッサ 2000ターボ 2台のスペック

フォルクスワーゲン・ゴルフ VR6(Mk3/1991〜1998年/英国仕様)

英国価格:1万7545ポンド(新車時)/1万5000ポンド(約285万円/現在)以下
生産数:約480台(Mk3合計)
最高速度:222km/h
0-96km/h加速:7.1秒
燃費:8.5km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1155kg
パワートレイン:V型6気筒2792cc 自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:176ps/5800rpm
最大トルク:23.8kg-m/4200rpm
トランスミッション:5速マニュアル(前輪駆動)

スバル・インプレッサ 2000ターボ・スポーツワゴン(1994〜2000年/英国仕様)

英国価格:1万7999ポンド(新車時)/2万ポンド(約380万円/現在)以下
生産数:約74台(合計)
最高速度:220km/h
0-96km/h加速:6.1秒
燃費:7.1km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1213kg
パワートレイン:水平対向4気筒1994cc ターボチャージャーDOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:210ps/6000rpm
最大トルク:27.7kg-m/4800rpm
トランスミッション:5速マニュアル(四輪駆動)

フォルクスワーゲン・ゴルフ VR6(Mk3/1991〜1998年/英国仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフ VR6(Mk3/1991〜1998年/英国仕様)

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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