一層美しく「野性的」 アストン マーティン・ヴァンテージへ試乗 665psを受け止める有能シャシー

公開 : 2024.09.13 19:05

フェイスリフトを受け、一層美しく野性的になったヴァンテージ 4.0L V8ツインターボは665psへ 快適な乗り心地 高負荷で実力が表れるシャシー 車重は1670kg 英編集部が評価

4.0L V8ツインターボは665psに 車重は1670kg

最新のアストン マーティンヴァンテージには、野性的な匂いが漂う。トラディショナルなブリティッシュ・スポーツカーらしさも香る。フェラーリ・ローマは登場から5年目を迎えたが、それ以上の輝きも感じる。

アストン マーティンのCEO、ローレンス・ストロール氏は何かを欲した時、中途半端なものでは納得しない。ヴァンテージの場合、英国価格20万ポンド(約3800万円)以下のスポーツ・グランドツアラーで、最高水準のステータスを得る必要があった。

アストン マーティン・ヴァンテージ(英国仕様)
アストン マーティン・ヴァンテージ(英国仕様)

ライバルにはローマだけでなく、ベントレーメルセデスAMGポルシェといったブランドのモデルが含まれる。彼が容赦なく完璧を求めたとしても、不思議ではない。

2024年の春に、AUTOCARではフェイスリフト後のヴァンテージへ試乗している。その時にもご紹介したが、4.0L V8ツインターボエンジンの最高出力は665psに達した。それ以前は510psだった。

ボディは僅かに大きくなったが、そこまで重くなったわけではない。ドライバーを強く惹き込む数字といえるが、恐怖を覚えさせる可能性もある。これは、アストン マーティンというイメージにも重なるように思う。

プラグイン・ハイブリッドのメルセデスAMG GTは、システム総合で800馬力以上を獲得したが、四輪駆動で車重は2tを超えた。シリアスな体験を創出するには、若干重すぎるだろう。

対して、ヴァンテージは1670kg。フロントにドライブシャフトが存在しない、後輪駆動でもある。純粋に運転を追求したいドライバーを、強く誘惑できるはず。

81.4kg-mの最大トルクを引き出しやすい

手つかずの自然へ伸びるような道で、現代的な技術を活用し、大パワーを展開する。ヴァンテージの体験は、実際に底しれず魅力的だ。遠くない日に、ライバルとの比較試乗を実施する計画だが、ひと足先にグレートブリテン島での印象をお伝えしたい。

ヴァンテージの全幅は1980mm。アストン マーティンDB11より広く、見た目には相当なインパクトがある。公道では、少し手に余りそうに思えることも事実だ。

アストン マーティン・ヴァンテージ(英国仕様)
アストン マーティン・ヴァンテージ(英国仕様)

しかし、そんな不安はすぐに消える。これまでのヴァンテージで感取された、ステアリングホイール切り始めの過敏さは抑えられた。狭い道幅でも、81.4kg-mの最大トルクを引き出しやすくなっている。

もちろん、敏捷性は依然として高い。同時に、これまでより直感的で、車線の中央を維持しやすい。

電子制御のリミテッドスリップ・デフは、効きが明らかに強く、豊かなトルクを確実に路面へ伝える。現在の市販車では、アクセルペダルの加減によるコーナリング・スタンス調整が、最も可能かもしれない。

ローマは、カーブ侵入時に優雅な身のこなしを披露するのに対し、ヴァンテージは脱出時で魅了する。この違いを確認するには、直接両車を乗り比べる必要がある。濡れた路面では手を焼くかもしれないが、ポルシェ911 ターボもここには加えたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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