牽引に最適な電気自動車 大トルクでトレーラーを引っ張るEV 10選 デメリットも

公開 : 2024.09.14 18:05

8. アウディQ8 eトロン

長所:上質なキャビン。充実した車載システム。広い室内空間。
短所:実走行での航続距離が短い。バーチャル・ドアミラーは面倒。ハンドリングはクラストップレベルではない。
最大牽引重量:1800kg
WLTP航続距離:455~535km

アウディQ8 eトロンの牽引能力にかなり自信を持っている。2020年、最高出力407psの「55クワトロ」を使って、ゼネラルモーターズのEV1(鉛蓄電池を搭載した1990年代のクーペ)を積んだ1800kgのトレーラーを、米国オクラホマ州タルサからテキサス州オースティンまで800kmを牽引して見せたのだ。

8. アウディQ8 eトロン
8. アウディQ8 eトロン

ただ、この旅では平均速度100km/hを記録したと言われているものの、停車して充電する時間は含まれていない。なぜなら、他車と同様、牽引時には航続距離が短くなるからだ。

実際、約400kmの航続距離は半分以下に低下し、160km強にとどまった。

長距離を走らないのであれば、Q8 eトロンはどのモデル(503psの「S」、スタイリッシュなスポーツバック、エントリーグレードの「50」)でも同じ1800kgの最大牽引重量を持ち、エアサスペンションがボディを水平に保ってくれる。

また、キャンプで溢れる荷物を収容できる660Lのトランクも備えている。

9. メルセデス・ベンツEQA

長所:充実した装備。高速走行時の静粛性が高い。回生ブレーキが扱いやすい。
短所:競合車より価格が高い。乗り心地が柔らかすぎる。期待はずれの航続距離。
最大牽引重量:1800kg
WLTP航続距離:418~557km

メルセデス・ベンツのEVのエントリーモデルであるEQAは、上位モデルであるEQCに匹敵する牽引能力を備えている。

9. メルセデス・ベンツEQA
9. メルセデス・ベンツEQA

シングルモーター仕様の「EQA 250」では750kgの牽引が可能だが、ツインモーター四輪駆動の「EQA 300 4マチック」または「EQA 350 4マチック」にアップグレードすると、最大牽引重量は1800kgまで向上する。

これは大型キャンパーや、サーキット専用車の運搬にも十分な容量だ。

電動トウバー(トランク内のボタンに触れるとリアバンパーの後ろから下りてくる)がオプションで用意され、エレクトロニック・スタビリティ・プログラム用のトレーラー・アシスト機能も標準装備されている。

このシステムでは、ブレーキを緻密に制御してトレーラーの危険な揺れを軽減する。また、極端な状況下ではモータートルクを減らし、制動力を高める。

10. アウディQ6 eトロン

長所:賢いインフォテイメント。優れた乗り心地。安定したダイナミクス。
短所:競合車に比べて高価。牽引時の航続距離が未検証。
最大牽引重量:2400kg
WLTP航続距離:最長615km

アウディQ6 eトロンは、アウディ/ポルシェの共同開発による洗練された新プラットフォーム「PPE」を初めて採用したモデルだ。PPEの「P」は「プレミアム」、つまり高級EVのために特別に設計されたもの。スコダのような安価なブランドとは共有されず、ダイナミズムと運動性能を重視している。

10. アウディQ6 eトロン
10. アウディQ6 eトロン

その高い操縦性から、高級な牽引車としても優れていると言える。最大牽引重量が大きく、重いものを引っ張りたい人には便利だが、トウバーはやや高価な有償オプションだ。

まだ発表されたばかりなので、本稿執筆時点では牽引時の航続距離をテストできていない。しかしアウディは、バッテリーをあまり消耗させることなく、キャンピングトレーラーを牽引して長距離を走る能力に自信を持っているようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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