メルセデス・ベンツ「EQS」名称廃止 Sクラスに統一へ エンジン車とEV、2030年に第8世代導入

公開 : 2024.09.04 06:05

個別のプラットフォームを採用

AUTOCARの取材に応じたケレニウスCEOは、大型EV向けのMB.EAプラットフォームの開発を中止したというメディアの報道内容を否定し、「すでにMB.EAラージで計画を進めている」と述べた。

MB.EAプラットフォームへの投資予定額は、40億ユーロ(約6400億円)から60億ユーロ(約9600億円)と見積もられている。このプラットフォームは、EQSの後継車だけでなく、EクラスGLEGLSの後継EV(詳細未定)にも使用される見込みだ。

メルセデス・ベンツSクラス
メルセデス・ベンツSクラス

メルセデス・ベンツの製品計画に詳しい関係者はAUTOCARに対し、内燃機関を搭載した第8世代のSクラスを開発するという決定により、Eクラスもほぼ確実にガソリンエンジンとディーゼルエンジン、そして電気駆動バージョン(EQE後継)とともに第7世代に切り替わるだろうと語った。

「SクラスとEクラスは技術的に密接な関係にある。どちらか一方がなければ、現在のモデルが享受しているスケールメリットに大きな影響を与えることになる」と関係者は言う。

プラットフォームは異なるものの、第8世代のSクラスは、最も近いライバルであるBMW 7シリーズとi7を反映し、内燃機関モデルとEVモデルの外観を統一する予定だ。Gクラスと同様、フロントグリルは変更されるが、ボディは共通となるだろう。

現行型はまもなくリフレッシュの予定

次世代モデルの登場に先立ち、現行世代のEQSとSクラスにはさまざまな改良が実施される予定だ。

現在の計画では、EQSは2025年後半に、Sクラスは2026年にマイナーチェンジを受けることになっている。

メルセデス・ベンツEQS
メルセデス・ベンツEQS

EQSは今年4月に改良を受け、スタイリングが一部変更されたが、次回のアップグレードではEVA2プラットフォームが大幅に改良される。現在の400Vシステムから800Vの高電圧システムに切り替え、充電時間を短縮する。

関係者によれば、10~80%の充電時間は現行型より最大10分短縮され、最短21分程度になるという。また、118kWhバッテリーも改良され、航続距離は約60km伸び、最長860kmとなる。この技術は、近日発売予定の次期CLAと共有される予定だ。

さらなる変更点として、電気モーターは現在のヴァレオシーメンス製ではなく、自社開発・生産の「eATS2.0」を採用する。

また、トランスミッションは1速から2速に多段化し、最高速度が向上する可能性がある。

一方、2026年のSクラスのマイナーチェンジでは、フロントグリルがより大胆なものとなり、ヘッドライトのデザインも変更される。インテリアにはMBUXスーパースクリーンと新しいオペレーティングシステム「MB.OS」が搭載される。

また、既存の4.0L V8ツインターボは、48Vマイルドハイブリッド技術を搭載した最新の「M177」仕様にアップグレードされる。

さらに、レベル3の自動運転システムであるドライブパイロットを、第6世代の新しいソフトウェアにアップグレードする。これにより、最高110km/hでのハンズオフ運転が可能になると予想されている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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