【インタビュー】ロータスは今後どうなる? 電動化で揺らぐ“らしさ”の行方

公開 : 2024.08.31 15:55

ロータス・カーズは日本市場に同社BEVの第3弾となるGTクーペ、エメヤ導入を発表。発表会場で同社アジアパシフィック・ミドルイースト・アフリカ総責任者であるダン・バルマーさんに、ロータスの将来について話を伺いました。

ガソリンスポーツカーも作っていく

読者諸兄も含めて最も気になるのは、ロータスが今後どうなっていくのかということだ。ロータス・カーズのアジアパシフィック・ミドルイースト・アフリカ総責任者であるダン・バルマーさんは、「電動化は引き続き進めていきますが、ガソリンエンジンのスポーツカーも継続して作っていきます」と明言。

電気自動車に関しては、「こういう(エメヤエレトレなど)大きいサイズで、ライフスタイルを意識したクルマを作っていきたい。スポーツカーは、小さいサイズ感を持つ楽しいクルマを目指しています」というからコンパクトなロータス好きにとってはひとまず安心なようだ。

ロータス・カーズのアジアパシフィック・ミドルイースト・アフリカ総責任者、ダン・バルマーさん。
ロータス・カーズのアジアパシフィック・ミドルイースト・アフリカ総責任者、ダン・バルマーさん。    ロータス・カーズ

同時にダンさんは、「いままでのロータスの伝統的なDNAを守りながらクルマを作っていきたいと考えていますが、ロータスの75年の歴史を振り返ると、当然いろんなクルマを作ってきているんです。それはスモールスポーツカーだけではなく、4ドアや大きなクルマもありました。確かにここ最近は小さいスポーツカーが多かったのですが、今後はこれまでと同様、いろんなものにトライしていきたいと考えています」とのことだ。

ロータスらしさはEVの方が表現しやすい

もうひとつ気になることをダンさんにぶつけてみた。それはロータスのユーザーやファンがロータスに求めていることだ。それはロータスにとって外せないもの、いわばDNAにもつながり、それをロータス・サイドはどう捉えているのかと気になった。

「それは運転した時の楽しさです、例えばハンドリングのレスポンスの良さなどが挙げられます」とダンさんは話し、同時にご本人が思うロータスらしさも同じだった。「ドライバーとの一体感、ダイレクト感がロータスらしさ。ドライバーの思いに対してクルマの反応が早い、一瞬にしてそれが実現できるというところでしょう」と述べ、「特にEVはレスポンスも凄く良いし、ドライバーとクルマとの一体感があるでしょう」とコメント。ダンさんが普段毎日のように運転しているEVからガソリン車に乗り換えると、「反応が遅くて古く感じてしまうかもしれませんね」と笑う。

最も重要なのは、このコクピットでロータスらしさを感じるかだ。
最も重要なのは、このコクピットでロータスらしさを感じるかだ。    ロータス・カーズ

そこから見えてくるのはEVのほうがロータスらしさを表現しやすいということだ。そう尋ねると、「まさにそうです。特にこういう(エメヤやエレトレ)大きいクルマであっても、表現しやすいと思います」という。そして、「エメヤやエレトレに乗ってもらえればロータスらしさは活かされていると体験してもらえるでしょう。見るだけではわからないので、ぜひ乗って理解してください」と述べていた。

エメヤやエレトレはダンさんが言うように大型のBEVである。先ほどガソリンのスポーツカーも作ると話に出たが、コンパクトサイズのEVスポーツカーは考えていないのか。「バッテリーのサイズがもう少し小さくならないと、いまのロータスが考えるスモールサイズのスポーツカーへの搭載は難しいですね」という。

そこでスペースが許される大型サイズからBEVを出してきたのだ。しかし、「バッテリーテクノロジーの進化により、将来は可能になるでしょう」というからには、BEVのコンパクトスポーツカーは確実に登場すると考えていいだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 撮影

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。
  • 編集

    平井大介

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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