【ショーファーからドライバーズカーへ】ロールス・ロイス・カリナンがシリーズIIへと進化

公開 : 2024.09.01 06:55  更新 : 2024.09.01 11:25

ロールス・ロイス・モーター・カーズは日本において、「スーパー・ラグジュアリーSUV」のカリナンに改良を施した「カリナン・シリーズII」を発表しました。9月29日お披露目された車両をご紹介します。

3つのゴールデンルール

ロールス・ロイスカリナン・シリーズIIとなった今回の改良、メインは内外装の変更である。その背景はロールス・ロイスのユーザー全体がドライバーズカーにシフトしつつあり、かつ、カリナンにおいてはショーファーカーとして使用される率は10%にも満たない状況であること。そして、顧客の平均年齢が2010年の56歳から43歳へと大幅に下がったことから、その意見を反映したものであり、カリナン・ブラックバッジが同時発売になったのも同じ理由だ。

ロールス・ロイス・モーター・カーズアジア太平洋のプロダクトマネージャーを務めるアイヴァン・カンさんによると、今回の改良のポイントについて、「お客様からよりモダンな見た目が欲しいという声をいただき、また、多くのお客様が都市部をご自身で運転しますので、その意見をベースにデザインの見直しを図りました。それを踏まえ、『Sheer Monolithic Beauty』というコンセプトのもと、アップデートしました」という。直訳すると『純粋な一枚岩の美しさ』となるが、大きな塊をいかに違和感なく美しく見せるかを目指したといえる。

9月29日に日本で初お披露目された、「ロールス・ロイス・カリナン・シリーズII」。
9月29日に日本で初お披露目された、「ロールス・ロイス・カリナン・シリーズII」。    ロールス・ロイス

ロールス・ロイスのデザインには3つのゴールデンルールがあるという。それをカリナンにあてはめると、スピリットオブエクスタシーは常にパンテオングリルの上に位置し、ヘッドライトは決してパンテオングリルの上に来ることはないこと。

次にサイドプロポーションは3本のラインの原則が適用されていること。最初のラインはスピリットオブエクスタシーから始まり、ボンネットに沿いルーフを抜けリアに向かって繊細に流れるシルエットライン。そしてパンテオングリルから始まり、アイコニックなコーチライン(ショルダーライン)と組み合わされるライン。そして3本目はリアを個性的に見せる、カリナン独自のバックデザインを強調するものだ。

現代的なミニマリズムを表現

それらはカリナンの普遍的なデザインと位置付けながら、カリナン・シリーズIIでは、フロントデザインを一新。基本的には垂直的なデザインを強調するもので、これはカリナンが多く走っているであろう、都会の摩天楼をイメージしたもの。例えば新デザインのデイタイムラインニングライトやLEDのマトリクスヘッドライトが、そのモチーフから生まれている。

また、パンテオングリルにも手が加えられた。ライトアップされたホライズンライン(グリル上部のRRエンブレムの下側の水平ライン)が加わり、グリルのサイドフレームが取り除かれた。その結果、「視覚的にカリナンの堂々とした幅が強調されています」とカンさんはいう。

ホイールはカリナンとしては初めてとなる、23インチを採用。
ホイールはカリナンとしては初めてとなる、23インチを採用。    ロールス・ロイス

3つ目の変更点は、新しいバンパーのデザインだ。バンパー下部は、「ヨットのデザインから着想を得ており、斜めの力強いグラフィックが特徴で、真正面から見た際に車高が低く見えるような視覚効果があります」と説明し、これらによりフロントから見た時の腰高感も減少した。

そのほかテールライトの内部がブラックインサートとなったほか、以前はオプションだったステンレススチールプロテクティブパッケージのハイグロスブラックバンパーとエグゾーストテールパイプフィニッシャーが標準装備となった。

因みに今回の展示車はエンペラドール・トリュフと呼ばれるもので、「茶色の大理石の模様からインスピレーションを得て、現代的なミニマリズムを表現しています」とのこと。

ホイールも新デザインで、「表面処理により、万華鏡のような反射を生み出しています」とし、そのサイズはカリナンとして初めて23インチを採用。これもユーザーからの声が大きかったからだという。

スペクターが23インチを採用したことから、カリナンにも23インチが市場から望まれたのだ。当然マジックライドカーペットを実現するために足回りに関するソフトウェアをアップデートするとともに、関係する部分を微調整したという。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 撮影

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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