「独自路線」ゆえの魅力 マツダCX-5へ試乗 推しは2.2Lディーゼル 驚くほどの回頭性

公開 : 2024.09.02 20:55

登場から7年が経過した2代目CX-5 マツダらしいデザイン 価格以上に内装は上質 「人馬一体」の操縦性 旋回性を高めるGベクタリング 周囲とは少し違う魅力 英編集部が評価

マツダらしい容姿 旋回性を高めるG-ベクタリング

多くの自動車メーカーとは異なる、独自路線を選ぶ傾向があるマツダ。中型ファミリーSUVのCX-5も、例外ではない。実用性に優れ、英国でも複数のトリムグレードを用意するが、パワートレインのラインナップはライバルと一線を画す。

英国市場に用意されるのは3種類。164psの2.0Lか196psで2.5Lの自然吸気ガソリンと、186psで2.2Lのターボディーゼルだ。2024年では、珍しい3択といっていい。

マツダCX-5(英国仕様)
マツダCX-5(英国仕様)

初代CX-5の登場は2012年。SUVブームの波にうまく乗り、6年間で150万台という大ヒットを記録した。そのため、2017年に登場した2代目への期待は大きい。プラグイン・ハイブリッドが設定されないにも関わらず。

英国での主なライバルは、フォルクスワーゲンティグアントヨタRAV4フォード・クーガなど。セミプレミアム・ブランドのポジションが狙われつつ、お手頃な価格設定が強みといえる。

スタイリングは、現在のマツダらしいもの。ヘッドライトは細く、クロームメッキのフロントグリルが表情を引き締める。無駄がなく、滑らかにカーブを描く面構成が、高級感を漂わせる。

CX-5の電子技術で触れたいのが、Gベクタリング・コントロール。エンジンとトランスミッション、シャシーを統合制御し、ボディの傾きやエンジンの出力に調整を加えることで、滑らかなコーナリングを実現するというもの。

自動的に荷重移動が生まれると、マツダは説明している。その結果、グリップやステアリング、スタビリティが最適化されるそうだ。

価格以上に内装は上質 トルクフルな2.2ディーゼル

ドアを開き運転席へ座ると、座面の位置はこのクラスのSUVらしい高さ。シートの調整域は広く、快適な姿勢を探しやすい。

ダッシュボード上部には、10.25インチのインフォテインメント用モニター。ライバルと比較するとサイズは小さく、グラフィックにはやや旧世代感が漂う。それでも、メニュー構造は合理的。アップル・カープレイとアンドロイド・オートには対応する。

マツダCX-5(英国仕様)
マツダCX-5(英国仕様)

ミドルグレードを選ぶと、ボーズ社製の10スピーカー・オーディオが実装される。駐車時に有用な360度カメラは、トップグレードのみの設定だ。センターコンソールは、肘掛けにちょうどいい高さ。内装の素材は、価格から想像するより上質だろう。

リアシート側の空間は、フォルクスワーゲン・ティグアンより僅かに長いホイールベースが活かされ、大人でもゆったり過ごせる。2段階にリクライニングできる、背もたれもうれしい。荷室容量は、トノカバー下で506Lある。

さて、発進させてみよう。スカイアクティブGを名乗る2.0L 4気筒ガソリンは、CX-5にはやや物足りない。活発に加速させるには、しっかり右足を傾けることになり、パワートレインの最有力にはならないだろう。自然吸気で回転は滑らかだが。

SUVにはトルクが欲しいとお考えなら、186psの2.2Lターボディーゼルが好適。2000rpmで45.8kg-mを発揮し、粘り強く頼もしい。ディーゼルの割にサウンドも目立たず、高負荷時にはスポーティな唸りを響かせてくれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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