「独自路線」ゆえの魅力 マツダCX-5へ試乗 推しは2.2Lディーゼル 驚くほどの回頭性

公開 : 2024.09.02 20:55

操縦性に重点 回頭性は驚くほど精彩

2.5Lの4気筒ガソリンがトップユニットになるが、ノイズがやや目立つ。6速ATのギア比がもう少し長ければ、巡航時の洗練度を高められるように思う。CVTを積むライバルより、加速時の車内はずっと穏やかだけれど。

2.0Lと2.2Lの英国仕様には、6速マニュアルが用意されている。クラッチペダルは重めながら、シフトレバーはショートストローク。時代遅れの選択かもしれないが、英国編集部では推さずにはいられない。

マツダCX-5(英国仕様)
マツダCX-5(英国仕様)

ステアリングホイールやペダルといった操縦系の重み付けには統一感があり、反応は正確。マツダは「人馬一体」を掲げているが、操縦性に重点が置かれていることは間違いないだろう。

全高があり車重も小さくない中型SUVでありながら、CX-5の回頭性は驚くほど精彩。シャープとまではいえないものの、ステアリングの反応速度や精度で、多くのライバルより優れている。

乗り心地は、このクラスでは硬め。速度域の低い市街地や大きめの隆起部分を通過すると、もう少ししなやかでも良いかな、と感じるドライバーはいるだろう。それでも、高速走行時の減衰特性は良好で、細かな入力もしっかり吸収してくれる。

可変式ではないダンパーで、巧みなコーナリングと悪くない乗り心地を両立できている。絶妙な落とし所といえるが、アダプティブダンパーが支えるティグアンの方が、全体的な快適性で優れることも否定はできない。

燃費も悪くない 周囲とは少し違う魅力

高速コーナーへ突っ込んでみると、サスペンションがボディロールを抑え込む。しかし限界領域へ近い速度域では、高めの重心位置と小さくない質量にこらえきれず、大きく傾いてしまう。

その間、タイヤの負荷も高まるが、スタビリティ・コントロールはボディの大きな動きへ対応しきれない印象。トラクション・コントロールは、完全なオフにはならない。大きな荷重移動で旋回性が急激に高まる場面があるため、妥当な設定といえる。

マツダCX-5(英国仕様)
マツダCX-5(英国仕様)

同じ条件下での安定性では、ティグアンの方が上手だ。CX-5の方が、サイズは僅かに大きいが。

燃費は、2.2Lディーゼルで、今回の試乗の平均値が19.1km/L。かなり優秀な数字といっていい。2.0Lガソリンは、高速道路を巡航すれば15.9km/L程度を得られる。平均でも13.5km/L前後で、車格を考えれば悪くない。アドブルーを補充する手間もない。

登場から7年が過ぎた、2代目CX-5。この間にライバルは次期モデルへ交代するなど、取り巻く環境は厳しいといえる。だが、周囲とは少し違うチョイスを好むなら、まだまだ魅力的なファミリーSUVだといっていい。

確かに、クラス最高の完成度とはいえない。それでも、特にターボディーゼルはエネルギッシュだし、正確な操縦性は好ましい。

◯:高級感があり、ゆとりある車内空間 軽快で積極的な動的特性 ガソリンの前輪駆動も、ディーゼルの四輪駆動も選べる
△:走行時のCO2排出量は小さくない 稀に良くない乗り心地 ライバルたちの方が新しい

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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