835psのV12ツインターボ搭載! 新型アストンマーティン・ヴァンキッシュ登場

公開 : 2024.09.03 05:30  更新 : 2024.09.03 10:40

剛性を高めたシャシー

シャシーはアストンマーティン独自のアルミニウム製押し出し材を接着して構成される。剛性を強化する部材を追加したことにより、前フラッグシップモデルのDBS 770アルティメットに較べ横剛性を75%向上させた。このほかフロントサスペンションタワー間にクロスブレースが採用し、ねじれ剛性と横剛性を高めている。

サスペンションは近代アストンマーティンの定番といえるフロントがダブルウィッシュボーン、リアはマルチリンクを採用する。専用のキャリブレーションが施されたビルシュタイン製DTXダンパーは、ドライブモードごとにセッティングを変えることができる。

メディア向けに都内で公開された新型アストンマーティン・ヴァンキッシュ。
メディア向けに都内で公開された新型アストンマーティン・ヴァンキッシュ。    上野和秀

フラッグシップモデルだけにカーボンセラミックブレーキが標準装備され、スチールローターに較べ27kgのバネ下重量の削減に貢献している。

アロイホイールは21インチの鍛造製。タイヤは専用設計のピレリP-Zeroで、ヴァンキッシュのために開発された専用品が組まれる。こちらには室内の騒音を半減できるピレリ・ノイズ・キャンセリング・システム(PNCS)を備える。

気品を感じさせるデザイン

スタイリングは近年のアストンマーティン2ドアクーペの流れを汲むもので、より洗練されたデザインでまとめられている。この種のモデルにある威圧的な造形は見られず、アストンマーティンの伝統と気品を感じさせる。

ボディサイズは全長4850mm、全幅1980mm、全高1290mmで、DBS 770アルティメットに較べ全長が135mm、全幅が10mm、全高は5mm大きくなった。またDBSでは2+2だったが、新型ヴァンキッシュでは2シーターと割り切られている。

近年のアストンマーティン2ドアクーペの流れを汲むデザイン。
近年のアストンマーティン2ドアクーペの流れを汲むデザイン。    上野和秀

フロントバンパー、フェンダー、グリルのデザインを一新。なかでもグリルは開口部がDBS 770アルティメット比で13%拡大され、エンジンの冷却性能を高めた。

独自の装備としては、光透過率6%のティンテッドガラスによるパノラミック・ラスルーフが標準で備わることに注目したい。今回展示されたヴァンキッシュは、オプションのカーボンルーフ仕様だった。

テールライトはヴァルキリーに始まるLEDライトブレードを片側7個ずつ配置。モダーンなデザインで新型ヴァンキッシュであることを主張する。またフロントのデイライトは、DB12ヴァンテージと同様にLEDライトブレードを使用する。

リアエンドのデザインも特徴的だ。トランクリッドの上端はダックテールとされ、「シールド」と名付けられた、浮くように取り付けられたガーニッシュパネルがテールライト間に位置し、カーボン地色かペイント仕上げを選べる。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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