ずばり「平均以下」な完成度 スカイウェルBE11へ試乗 サイズ感はiX3 お値段はQ4 e-トロン

公開 : 2024.09.03 19:05  更新 : 2024.09.04 12:20

2017年に誕生した中国ブランドが英国へ サイズ感はiX3、お値段はQ4 e-トロンのBE11 見劣りするインテリア ライバルに及ばない動的能力 完成度は平均以下だと、英編集部は辛口評価

サイズ感はiX3 お値段はQ4 e-トロン

中国のバッテリーEVへ詳しい読者でも、スカイウェルはご存知ないかもしれない。だが、英国での販売が始まろうとしている。

同社は、中国の家電メーカーのスカイワース社と、電動バスメーカーの南京ゴールデンドラゴン社による合弁事業として、2017年に誕生。グレートブリテン島へは、英国のイノベーション・オートモーティブ社が輸入する計画を進めている。

スカイウェルBE11(英国仕様)
スカイウェルBE11(英国仕様)

スカイウェルがライバルとして掲げるのは、メルセデス・ベンツアウディ。現状では、かなり野心的な目標といって良いだろう。

今回試乗したBE11は、同社初の量産バッテリーEV。駆動用バッテリーと航続距離は、72kWhで399km、86kWhで489kmが主張される。駆動用モーターは、203psと32.5kg-mで共通。フロントに載り、前輪駆動だ。

ボディの寸法は、全長が4720mmで、全幅は1908mm、全高は1696mm。比較的大きめのSUVといえ、サイズ感ではBMW iX3へ近い。

英国価格は、3万5000ポンド(約665万円)前後からが見込まれている。価格帯的には、トヨタbZ4XフォルクスワーゲンID.4、アウディQ4 e-トロンなどが並ぶ。

スタイリングは、多くの中国製モデルと異なり、クセが弱め。少し地味かもしれないが、シンプルで悪くはない。

カッターナイフのようなヘッドライトはLEDで、クロームメッキのアクセントが全体を引き締める。アルミホイールは、19インチのダイヤモンドカットだ。リア側は、ワイドなテールライトが現代的。点灯すると、SKYWELLと浮き上がる。

見劣りするインテリア 癖のあるアクセルの反応

車内空間は、パノラミック・ガラスルーフのおかげで明るく開放的。小物入れなどは充実し、リアシート側も大人がゆったり過ごせる。

ダークグレー基調の内装は、同価格帯のモデルより見劣りする。ウッドパネルはフェイク感が強く、合成皮革のシートは硬め。傷が付きやすそうなプラスティックも多い。

スカイウェルBE11(英国仕様)
スカイウェルBE11(英国仕様)

ダッシュボード中央に収まるのは、12.8インチのインフォテインメント用タッチモニター。ソフトウエアは軽快に動作していたが、バグも残っていた。特にスピードメーターは、km/hからマイル表示へ切り替えられなかった。

カーナビは、まだ英国では機能しない様子。アップル・カープレイにも対応していない。タッチモニターのメニュー画面も、アイコンが小さく扱いにくい。回生ブレーキの強さを変えるには、メニューを掘り下げる必要がある。

公道へ出てみれば、1基の駆動用モーターが不満ないパワーを発揮する。高速道路の合流車線でも、力不足を感じることはなかった。

ただし、少し鋭い加速を求めると、重心は後方へ移動。フロントのトラクションが弱まり、タイヤが暴れようとする。また、アクセル操作に対する反応にも癖があり、全体的にワンテンポ遅れ気味。出力特性には、少し調整が必要だろう。

回生ブレーキの効きは、もう少し強められても良い。アクセルペダルを緩めても期待したほど減速せず、ブレーキペダルを踏む時間は短くない。その感触はスポンジーで、滑らかに停止するには踏む加減を調整することになる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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