宙を舞う「1500馬力」のブルドーザー モンスタージャム JCBディガトロン タイヤは1本292kg!

公開 : 2024.09.16 19:05

外形66インチのタイヤは1本292kg

多くの場合、1会場で走る時間は合計でも30分程度。スタジアムの中だから、全開走行は殆どできない。メカニックや部品は、マシン間で共有されるという。

「ストックのエンジンは沢山あります。必要なら、次のユニットへ載せ替えるので。不調があれば、すぐにドライバーが教えてくれますよ」。イースタリーが説明する。

JCBディガトロン(モンスタージャム・マシン)
JCBディガトロン(モンスタージャム・マシン)

車重は約5440kg。全長は5100mmで、全高は3200mm。これを支えるサスペンションは、前後とも4リンク式で、ストロークは30インチ(約762mm)もある。リザーバータンク付きのエアショックが、2本づつ組まれている。

タイヤは、インドのBKT社製。外形は66インチ(1676mm)あり、重さは1本292kgだ。「このタイヤは4世代目。減りが少ないので、ほぼ永遠に使えるでしょうね」

ディガトロンは、JCBとモンスタージャムとのパートナーシップで誕生した。北米市場での販路拡大の一環として、公式工業車両プロバイダーというポジションにある。テキサス州サンアントニオでは、新しい工場が建設中だ。

先述の通り、ディガトロンも管理するのはフェルド社。JCBがシャシーを設計する必要はなかった。それでも、観衆の目を引くボディは必要になる。ワトソン率いるチームが、ブルドーザーをポップにしたようなデザインを生み出した。

「マシンの見た目は、自分たちでコントロールしたいという考えが強くありました。でも、モンスタートラックのデザイン経験なんてありません。巨大なバケットや掘削機をモチーフにした、極端なアイデアも初めはありましたよ」。ワトソンが振り返る。

JCBブランドを表現するモンスタートラック

「JCBブランドを体現し、どんな企業なのかを示すトラックが必要だと考えました。多様な建設機械をデザインする時の課題は、同じブランド・ファミリーだと感じられるようにすることです」。ディガトロンも、その一員だ。

ボディは、激しいスタントに耐える必要がある。ドライバーのトリスタン・イングランド氏は、リアを持ち上げてフロントタイヤだけでバランスさせる技が得意。そのため、フロント側は小さく丸く作られている。

JCBディガトロン(モンスタージャム・マシン)
JCBディガトロン(モンスタージャム・マシン)

同時に、建設機械のアームやバケットもしっかり表現された。コンピュータ上で仮想モデルを制作し、破壊シミュレーションで耐久性も確認済みだ。

「ディガトロンは、運転席からの視界が良好。タイヤが目視できることも確かめています。視界が広がるほど、競技時の自信は高まるはずです。多くの議論を重ねましたが、素晴らしい結果で、やり甲斐があるものでした」。イースタリーが話す。

2024年8月には、ロンドン・スタジアムでモンスタージャムが開催された。もちろん、ディガトロンも参戦。JCB社の経営者トップ、ロード・バンフォード氏も観戦している。

このイベントでは、直接対決と2輪チャレンジで勝利。フリースタイルでは、バックフリップで横転してしまった。それでも最終得点で、ディガトロンが総合優勝を掴んだ。

モンスタージャムは、ふざけたモータースポーツに見えるかもしれない。だが、アメリカでは巨大なビジネスを構成している。ディガトロンが、JCB社の市場開拓を強力に推し進めることだろう。

JCBディガトロン(モンスタージャム・マシン)のスペック

英国価格:−ポンド
全長:約5100mm
全幅:約3800mm
全高:約3200mm
最高速度:112km/h
0-100km/h加速:4.0秒
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:5440kg
パワートレイン:V型8気筒8849cc スーパーチャージャー
使用燃料:メタノール
最高出力:1500ps
最大トルク:151.8kg-m
ギアボックス:2速オートマティック(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

イベントの人気画像