トヨタの「信頼性」が1番? ゴルフ/308/カローラ・スポーツ 3台比較試乗(2) 一長一短あるけれど

公開 : 2024.09.21 09:46

手頃な大きさのハッチバックといえば、万能選手的ファミリーカー その代表といえるVWゴルフ フェイスリフトで向上した実力は? 最大のライバル、308とカローラ・スポーツで比較試乗

3車3様のハイブリッド PHEVより便利

8.5代目になったフォルクスワーゲン・ゴルフのインテリアは、今回の3台の中間といったところ。プジョー308ほど刺激的なデザインではないが、素材感はトヨタカローラ・スポーツより上。居心地が良い。

シートは、座面のサポート性が低め。ステアリングホイールは、テレスコピック(前後方向)の調整域がもう少し欲しい。それでも、自然な運転姿勢へ落ち着ける。

フォルクスワーゲン・ゴルフ eTSI 150 Rライン(英国仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフ eTSI 150 Rライン(英国仕様)

車載機能の多くはタッチモニターで操作するが、すべてが簡単。エアコンの温度は、タッチセンサーでサクッと変えられる。ドアポケットなど、収納に困ることもない。

空間にもゆとりがある。3台では、前席側の足元と頭上が最も広く、後席も狭いと感じることはないだろう。荷室容量は381Lで、412Lある308の次点。より広い空間が必要なら、いずれもステーションワゴンを選択できるが。

ハイブリッド・パワートレインには、メーカー毎の特徴が出ている。カローラは、おなじみの「フル」ハイブリッド。308はフルに近いマイルド。ゴルフは電圧48Vのスターター・ジェネレーター(ISG)が組まれた、普通のマイルドだ。

いずれも、コンセントに繋いで充電する必要はない。集合住宅で暮らすユーザーには、間違いなくプラグイン・ハイブリッドより便利だろう。

マイルド・ハイブリッドのゴルフは、電気モーターだけでは走れない。しかし、アクセルペダルを戻した途端、エンジンは停止する。少し積極的すぎるかもしれないが、動作は滑らか。燃費も悪くはなく、今回の平均では18.0km/Lへ迫った。

HVは市街地で威力発揮 操縦性が大きな美点

308の電気モーターはより強力だが、高速道路の速度域までは対応が難しい様子。カローラ・スポーツも同様で、大容量の駆動用バッテリーとe-CVTの威力が表れるのは市街地。気張らず運転すれば、25.0km/L近い効率を得られる。

e-CVTは段付きの変速がないため、加速は極めてシームレス。素早くRへ切り替えられ、狭い場所での切り返しもテキパキできる。デュアルクラッチATの2台では叶えにくい、見逃されがちな強みだと思う。

手前からプジョー308 ハイブリッド136 GTと、フォルクスワーゲン・ゴルフ eTSI 150 Rライン
手前からプジョー308 ハイブリッド136 GTと、フォルクスワーゲン・ゴルフ eTSI 150 Rライン

308の強みは、1.2L 3気筒でも活発なこと。今回の中では、最もエネルギッシュかもしれない。ゴルフとカローラ・スポーツは1.5Lと1.8Lの4気筒だが、回転数の上昇と同時に、やや荒い唸りが大きくなる。対して308のサウンドは耳障りが良い。

ファミリーハッチバックだから、純粋なドライバーズカーとはいえなくても、この3台は操縦性が大きな美点。カーブが連続する区間で、楽しいと思える。同クラスのクロスオーバーやSUVと比較して、優れた敏捷性と乗り心地を、巧みに両立させている。

特にキラリと光るのが、カローラ・スポーツだ。ペダルやステアリングホイールは軽めだが、不安を感じるほどではなく、直感的に扱える。どの程度の力を込めれば良いのか、把握しやすい。

ステアリングの反応は繊細で、旋回時に負荷が増すと、重みも増えていく。アクセルペダルを緩めれば、ラインは内側へ戻る。ボディの傾きは抑制され、フラつくようなことはない。すべてが自然で調和している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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