トヨタの「信頼性」が1番? ゴルフ/308/カローラ・スポーツ 3台比較試乗(2) 一長一短あるけれど
公開 : 2024.09.21 09:46
車内の人間工学が足を引っ張る308
残りの2台も素晴らしいが、それぞれに小さな弱みがある。308はステアリングホイールが小径で真円ではなく、どの程度回すべきか掴みにくい。手のひらへのフィードバックも小さい。
ゴルフは、ブレーキペダルの反応が敏感で安定しない印象。そのかわり、英国では720ポンド(約14万円)でアダプティブダンパーを組める。ソフトにすれば上質になり、ハードにすれば引き締まった身のこなしを得られる。
動的特性の幅は広い。それでも、意外かもしれないが、カローラ・スポーツより優れた印象とはいえないだろう。
一長一短はあるが、好ましい操縦性を備え、燃費は優秀で、快適性を褒められる点では共通している。しかも、英国価格は3万5000ポンド(約672万円)以下と、良心的だ。
明確な勝者は決めにくい。とはいえ、僅かな優劣は存在する。308は、車内の人間工学が足を引っ張る。操縦性の自然さでは、他の2台に及ばないだろう。英国価格も、この中ではお高めだ。
ゴルフは、高級感ある大人なインテリアデザインが好ましい。アダプティブダンパーと7速デュアルクラッチATの組み合わせなら、多様なシーンで運転を楽しめる。
自然な感じで馴染めるカローラ・スポーツ
果たして今回の比較で、ファミリーハッチバックとして最も運転しやすく、自然な感じで馴染めるのはカローラ・スポーツだろう。燃費は1番良いし、アダプティブ・クルーズコントロールの動作も優秀といえる。
英国価格は、最も安価なゴルフなら、最も安価なカローラ・スポーツより安い。だが、最も高価なゴルフは、最も高価なカローラ・スポーツより高い。
価格的には拮抗していても、トヨタには強力な武器がある。他を寄せ付けない信頼性だ。ゴルフは、アップデート後でもタッチモニターに不具合が生じた例を知っている。今回も、エンジンの始動で不安定な場面があった。
8.5代目のゴルフは、本来のフォルクスワーゲンの姿を取り戻したようなモデルだと思う。ショールームでは、どちらを選ぶべきか悩むはず。しかし、数年後に正しい選択だったと実感する割合が高いのは、カローラ・スポーツではないだろうか。
ゴルフ/308/カローラ・スポーツ 3台のスペック
トヨタ・カローラ(カローラ・スポーツ)1.8ハイブリッド GRスポーツ(英国仕様)
英国価格:3万4060ポンド(約654万円)
全長:4370mm
全幅:1790mm
全高:1435mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:9.1秒
燃費:21.3km/L
CO2排出量:105g/km
車両重量:1410kg
パワートレイン:直列4気筒1789cc 自然吸気+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:140ps(システム総合)
最大トルク:−kg-m
ギアボックス:e-CVT(前輪駆動)
フォルクスワーゲン・ゴルフ eTSI 150 Rライン(英国仕様)
英国価格:3万1875ポンド(約612万円)
全長:4284mm
全幅:1789mm
全高:1456mm
最高速度:223km/h
0-100km/h加速:8.4秒
燃費:18.6km/L
CO2排出量:122g/km
車両重量:1376kg
パワートレイン:直列4気筒1498cc ターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:150ps/5000-6000rpm
最大トルク:25.3kg-m/1500-3500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック(前輪駆動)
プジョー308 ハイブリッド136 GT(英国仕様)
英国価格:3万4095ポンド(約655万円)
全長:4367mm
全幅:1852mm
全高:1441mm
最高速度:209km/h
0-100km/h加速:9.3秒
燃費:17.2km/L
CO2排出量:111g/km
車両重量:1375kg
パワートレイン:直列3気筒1199cc ターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:136ps/5500rpm
最大トルク:23.4/1600rpm
ギアボックス:6速デュアルクラッチ・オートマティック(前輪駆動)