欧州COTY受賞車がアップデート! 従来以上の優位性 航続最大580kmのキアEV6へ試乗

公開 : 2024.09.19 19:05

余裕のパワーに安定した操縦性 運転が楽しい

アクセルペダルを傾ければ、EV6 AWD GT-ラインSは静止状態から鋭く加速していく。ただし、力自慢のバッテリーEVとは異なり、気分が悪くなるほど猛烈なわけではない。

右足を踏み込んだぶんだけ、力強さが上昇。余裕あるパワーが、滑らかに展開される。その制御は丁寧で、望んだ通りの勢いで地平線の彼方を目指せる。リラックスした気分のまま、安楽で高速な長距離移動を叶えられる。

キアEV6 AWD GT-ラインS(英国仕様)
キアEV6 AWD GT-ラインS(英国仕様)

アスファルトへしっかり足を着けたような、安定感は変わらず。ステアリングホイールへ伝わる感覚は薄く、軽すぎるようにも思うが、ボディの大きいクロスオーバーを積極的に操りたいと思うのに充分なほどクイックでダイレクト。正確性も高い。

このクラスでは高い動的能力を備え、着座位置は低め。慣れてくれば、ボディがひと回り小さく感じられてくる。運転は楽しいといっていい。

乗り心地も良好。電動SUVという枠を超えて、快適だと表現できる。車重はフェイスリフトで75kg増え、試乗車は20インチの大径アルミホイールを履いていたが、荒れたアスファルトを巧みに処理。スピードバンプも、滑らかに通過してくれた。

高速道路では、僅かにゴツゴツという振動が車内へ侵入してくる。それでも、基本的に落ち着きを失わない。伸びた航続距離を、いかんなく発揮させることができるはず。

従来以上の優位性を獲得 オススメできる1台

効果的なフェイスリフトを受けたEV6。必要なアップデートを施しつつ、定石通り、問題ない部分へキアは手を加えなかった。つまり、優秀なバッテリーEVであることに変わりはない。

ライバルとの競争力を強化しただけでなく、従来以上の優位性も獲得したと表現していいだろう。電動ファミリー・クロスオーバーの魅力的な選択肢として、広くオススメできる1台だ。

キアEV6 AWD GT-ラインS(英国仕様)
キアEV6 AWD GT-ラインS(英国仕様)

◯:バランスに優れたシャシー 一体感のある操縦性 感心するほどの航続距離と急速充電能力
△:タッチモニター中心の車載機能の操作 コミュニケーション力不足のステアリング

キアEV6 AWD GT-ラインS(英国仕様)のスペック

英国価格:5万7175ポンド(約1098万円)
全長:4680mm
全幅:1880mm
全高:1550mm
最高速度:186km/h
0-100km/h加速:5.3秒
航続距離:521km
電費:6.2km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2165kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:84kWh
急速充電能力:258kW
最高出力:324ps
最大トルク:61.5kg-m
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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