ボルボの人気SUVにEV、2026年発売へ 新型「EX60」先進的なプラットフォーム採用 電動化を「大きく後押しする」と取締役

公開 : 2024.09.10 18:05

ボルボは2026年に新型EV「EX60」を発売する予定だ。現在のXC60に相当する中型SUVで、先進的なSPA3プラットフォームや新技術を採用。ボルボの電動化において非常に重要なモデルとされる。

中型の高級電動SUV

スウェーデンのボルボは、2026年に新型EV「EX60」を発売する予定だ。高度なソフトウェア技術に対応した先進的な新プラットフォームを初めて採用する。

新型EX60は、絶大な人気を誇る中型SUV、XC60に相当するフルEVとして、ボルボの電動化に向けた重要なモデルとなる。

ボルボは新型電動SUV「EX60」の開発を進めている。(写真はEX30)
ボルボは新型電動SUV「EX60」の開発を進めている。(写真はEX30

車名以外の詳しい情報についてはまだ伏せられているが、ボルボの最高商務責任者(CCO)兼副CEOであるビョルン・アンウォール氏はAUTOCARの取材に対し、「当社の電動化において大きな後押し、大きな進歩となる」と語っている。

「(現在の)XC60はボルボの製品ポートフォリオの中心的存在であり、ベストセラーです。素晴らしいクルマで、多くの人が完全EV版を待ち望んでいます。(EVが)実現した暁には、電動化に大きな変化が見られるでしょう」

EX60は、現行型XC60とほぼ同じサイズの中型電動SUVになる可能性が高い。そして、小型のEX30と大型のEX90からデザインの影響を受けることは間違いないだろう。

SPA3プラットフォーム初採用

ボルボの発表によると、EX60には「SPA3」と呼ばれる新しいプラットフォームを初めて採用し、また「ボルボ・カーズ・スーパーセット(Volvo Cars Superset)」という新技術を導入するという。後者は、実質的に車両とその機能を動かすハードウェアおよびソフトウェアのスタックだ。

SPA3プラットフォームは、EX90で初めて採用されたSPA2プラットフォームを大幅に発展させたもの。ボルボの研究開発責任者であるアンダース・ベル氏は、「メカニカルな観点からは大きな一歩ですが、ソフトウェア・エレクトロニクスの観点からは純粋な進化です」と述べた。

現行型XC60はボルボの販売を牽引する人気モデルだ。
現行型XC60はボルボの販売を牽引する人気モデルだ。

「EX90に投入したすべての作業は、そのままSPA3車にも反映されます。基本的には同じソフトウェア・スタックです。SPA3は当初から、サイズや価格帯、地域を問わず、また台数でもはるかにスケーラブルになるよう設計されています」

以前にも報じたように、EX60はボルボ車として初めてメガキャスティング技術を導入する。メガキャスティングは、従来なら複数の部品を組み合わせるところを、まとめて単一部品として生産することができる技術だ。SPA3の高いモジュール性とあわせて、生産コストの削減につながると期待される。

SPA3は理論上、EX30より小さいコンパクトモデルやEX90より大きいフルサイズモデルにも使用できる。ベル氏はこのプラットフォームについて、「あらゆる次元でスケールを考慮して設計されています。サイズに関して言えば、幅広い選択肢を確保することがわたしの仕事です。(SPA3を)BからF(セグメント)までスケーラブルに設計し、柔軟性を確保し、市場に必要な製品を必要な時に発売できるようにします」と説明する。

また、ベル氏によると、今後のボルボの新型車はすべて同じ基本技術スタックを共有するため、より集中的かつ迅速な開発が可能になるという。

「すべてが同一の技術スタックを使うので、作業の繰り返しがありません。ソフトウェア・スタック、基本的な電気アーキテクチャーも同じです。サイズや価格、機能は拡張可能ですが、異なるエコシステムに製品を広げることはありません」

「我々が行うことはすべて、ボルボのコネクテッドカー・クラウドと結びついています。成功しているテック企業を見ると、すべての製品が相互にリンクしている単一の技術スタックを持つ企業ばかりです。アップル社が良い例で、ハードウェア、ソフトウェア、電話、ノートパソコンは、基本的にすべて同じソフトウェアで相互接続されています。これは、テック企業として今後収束していかなければならないものの一例です」

「当社が重要視しているのは、安全性、持続可能性、そしてスカンジナビアン・デザインに包まれた素晴らしい顧客体験を、1つの技術スタックで実現することです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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