【爆速ミニバンと小型SUVがやって来る】 中国BEVブランド「ジーカー」日本上陸か その名も「009」と「X」

公開 : 2024.09.06 17:45  更新 : 2024.09.07 12:10

中国BEVブランド「ジーカー」が日本上陸を果たす見込みです。投入されるのは小型SUV「X」とミニバン「009」のようですが、日本では馴染みの薄い「ジーカー」というブランドと共にその2台を解説します。

右ハンドルで2025年に導入予定

筆者の取材によると、ボルボロータスを傘下に収める中国の「ジーリー(吉利汽車)」が、プレミアム純電動ブランド「ジーカー」を日本へ投入することが明らかになった。

日本で乗用BEVを販売する中国ブランドはBYDに続いて2番目となるが、まずはジーカーがどんなブランドなのか、そしてどういったクルマ作りをしているのかを紹介しよう。

中国BEVブランド ジーカー「009」。
中国BEVブランド ジーカー「009」。    加藤ヒロト

ジーリーは中国・浙江省に本拠地を置く民間自動車メーカーで、現在もトップを務める李書福氏によって1996年に設立された。2010年にはボルボ、2017年にはロータスを買収、現在は中国メーカートップ3に数えられる一大グローバル自動車企業へと発展した。

ジーリーは買収した海外ブランド以外にも多くの独自ブランドを擁しており、その中にはボルボと共同設立した「リンク・アンド・コー(領克)」や、普及価格帯電動ブランド「ギャラクシー(銀河)」なども含まれる。

リンク・アンド・コーは、2018年にセダン「03」のワールドプレミアを富士スピードウェイで開催したことで日本でも話題を呼んだ。結局、今日までリンク・アンド・コーの海外展開は欧州や中東にとどまるが、この度、リンク・アンド・コーの姉妹ブランド「ジーカー(Zeekr)」が日本に上陸する運びとなった。

ジーカーは2021年に設立された純電動ブランドで、リンク・アンド・コーよりもプレミアムな位置づけだ。

初のモデルは当初リンク・アンド・コーのコンセプトモデルとしてお披露目された「001」で、その後、2023年には高級ミニバン「009」、コンパクトSUV「X」、そしてセダン「007」を立て続けに中国で発売した。

どのモデルも自社の「SEAプラットフォーム」を採用しており、また、009は「EM90」、Xは「EX30」といったボルボ車種とも大部分を共有する。2024年4月にはミドルサイズミニバン「MIX」を公開、そしてミドルサイズSUV「7X」の近日中の発売も予定している。

奇抜なデザインで目を引く。これも先進性のアピールか

ジーカーはこれまでのどの中国メーカーとも異なる存在だ。まず目を引くのがその奇抜なデザインで、デザインセンターはボルボの本拠地でもあるスウェーデンのヨーテボリに構えている。

特に007やMIXで採用されている左右一体のディスプレイ型ヘッドライトはまさに「近未来のクルマ」といった印象で、設計したのは日本の「市光工業」だ。

中国BEVブランド ジーカー「009」。
中国BEVブランド ジーカー「009」。    加藤ヒロト

また、インテリアはボルボ譲りの北欧的エッセンスと、中国の消費者が好むような先進性を上手く融合させた空間となる。この「先進性」は非常に説明が難しく、ここ1~2年のトップランナー的中国車を実際に体験した人しかわからない概念かもしれない。

簡単に言えば、ダッシュボードから浮き出た大型のセンターディスプレイ、細い横長のディスプレイに集約されたインストゥルメントパネル、そしてフレグランス機能など、伝統的なクルマを知らない新世代の中国人にウケる要素満載といったところだろうか。

日本へはまず「009」と「X」を投入する計画だ。

「009」は全長×全幅×全高が5209×2024×1848mm、ホイールベース3205mmの大型純電動ミニバンとなる。中国では容量108kWh、116kWh、140kWhの3種類のバッテリーを用意し、航続距離は702~900kmを誇る。

ただ、この航続距離は中国独自のCLTC方式となるため、実質的な数値はこの7~7.5掛け程度だろう。駆動方式は前輪駆動と四輪駆動を用意し、前者は340ps/421ps、後者は543ps/611ps/788psと選択肢は豊富だ。

フロントはメッキパネルを全面に押し出し、逆U字型のヘッドライトと合わせて奇抜な仕上がりとなる。全体的なシルエットは大型ミニバンにしては低めで、スポーティな雰囲気が感じられる。また、ジーカー特有のガラス細工のような左右一体型テールライトも美しい。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    加藤ヒロト

    Hiroto Kato

    山口県下関市生まれ、横浜在住。慶應義塾大学環境情報学部に在学するかたわら、各自動車メディアにて「中国車研究家」として中国の自動車事情について「クルマ好き」の視点で多様な記事を執筆する。また、自費出版で中国モーターショーのレポート本「中国自動車ガイドブック」シリーズも手掛けている。愛車は1998年型トヨタ カレンと1985年型トヨタ カリーナED。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

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    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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