「ソフト」で最新性能を維持 最新 ボルボEX90へ試乗 群を抜いて静かで快適! 517psは強力過ぎ?

公開 : 2024.09.06 19:05

群を抜いて静かな車内 素晴らしい乗り心地

ハード面を見ていくと、発売時点のEX90はツインモーターの四輪駆動のみ。ベースの仕様では407ps、パフォーマンス仕様で517psを発揮する。初期のトリムグレードはウルトラへ絞られ、英国価格は9万6255ポンド(約1848万円)からだという。

今回試乗したのは、パフォーマンス・ウルトラ。お値段は、10万555ポンド(約1931万円)へ上昇するとのこと。

ボルボEX90 ツインモーター・パフォーマンス・ウルトラ(北米仕様)
ボルボEX90 ツインモーター・パフォーマンス・ウルトラ(北米仕様)

アメリカ・ロサンゼルスの公道へ出てみると、群を抜いて車内が静かなことに驚かされる。まるで、ロールス・ロイスのよう。この静寂性が、EX90の快適性や洗練性へ大きく貢献していることは間違いないだろう。

凹凸が目立つアスファルトでも、乗り心地は素晴らしい。アルミホイールは標準で22インチを履くが、恐らくグレートブリテン島の公道でも優れた印象を与えるはず。特に高速道路ではしなやか。低速で不整を通過しても、殆ど気にならなかった。

サスペンションは、標準でツインチャンバーのエアスプリング。可変式だが、ソフトとハードというシンプルな2モード構成になっている。パワーステアリングも同様だ。

EX90が最高の状態にあるのは、どちらもソフトの時。サスペンションでハードを選ぶと、7シーターのSUVとしては不釣り合いなほど、明確に硬くなる。

その時のステアリングのタッチは、レンジローバーへ近い。適度な手応えで気持ちいい。ハードへ切り替えると機敏になり、リラックスした雰囲気は薄れる。一体感が増すわけではないようだ。

強力すぎる92.5kg-mのトルク 優れた操縦性

駆動用モーターも、2モードで切り替えられる。デフォルトでは、普段使いに丁度良い力加減。パフォーマンス・モードへ切り替えると、アクセルペダルを傾けた右足が後ろへ引っ張られる勢いで、加速が始まる。

近年のバッテリーEVで共通する印象だが、恐らくEX90は標準仕様の407psの方がベターだろう。車重は2712kgあるが、最大トルク92.5kg-mは強力すぎる。過剰なほどの加速は、初めは新鮮に思えるものの、程なく慣れてしまう。

ボルボEX90 ツインモーター・パフォーマンス・ウルトラ(北米仕様)
ボルボEX90 ツインモーター・パフォーマンス・ウルトラ(北米仕様)

パフォーマンス・モードにし、サスペンションをハードにしたら。3列目に座った子供は、気分を悪くするかも。

それでもEX90は、このクラスの電動SUVとしては操縦性に優れる。ボディロールは抑制され、旋回時のグリップ力に不足はなし。オンロード性能は明らかに高い。運転していて笑顔になるというより、安心感と頼もしさが湧いてくる、といったところだが。

回生ブレーキは、走行速度に応じて自動的に調整される。ブレーキペダルを踏まずに停止できる、ワンペダルドライブにも対応する。

今回の試乗では、同一スペックの2台へ試乗させていただいた。どちらも近い条件で走らせ、航続距離は一方が約420km、他方が480kmと小さくない開きが出た。ソフトウエアによる制御で生まれた違いのようだが、普段使いに不足ない距離だろう。

スタイリングは、シンプルでスマート。全長は5037mm、全幅が2039mm、全高は1747mmあるが、その数字ほど大きくは感じられない。メルセデス・ベンツEQS SUVと、BMW iXの中間といえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

ボルボの人気画像