【混沌とする車業界のEVシフト】 ボルボが2030年完全EV化を撤回 目標調整の背景を分析

公開 : 2024.09.09 06:45

ボルボが今、社会の現実に直面して出した答え

アメリカについては、ボルボは利益率の高い上級SUV市場を重視してきた。だが、堅調だったテスラの需要が一服したという見方が広まったり、また大統領選挙後の市場変化の行方が読みづらい状況にある。

さらに、日本では日系、欧州系、韓国系、中国系など様々なBEVが続々と市場参入しているものの、BEVのシェアは2%弱。最も売れているBEVは、日産の軽自動車「サクラ」という市場構成だ。

ボルボが2030年完全EV化を撤回した背景。
ボルボが2030年完全EV化を撤回した背景。

このように主要市場では短期的にはEVシフトがスローダウンしていることは間違いない。

その上で、ボルボのジム・ローワンCEOは次のようにコメントしている。

「ボルボ・カーズの未来は電動化であるという信念はゆるがない。電動化車両は優れたドライビング体験を提供し、カスタマー・エクスペリエンス全体を向上させる先進技術を活用する可能性を高める。

しかし、電動化への移行が直線的なものではないことは明らかであり、お客様と市場への受け入れスピードはそれぞれ異なっている。私たちは、電動化とサステナビリティに関して業界をリードする立場を維持しつつ、現実的で柔軟な姿勢で対応していく」

ボルボがグローバルでEVシフトを牽引するという意思を貫きつつも、国や地域によって市場の変化が大きい現状を見据えた発言だ。その上で、ボルボは現実解に基づくEVシフトを今後も続けるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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