「劇的変化」を生むサスとホイール ACシュニッツァー ACS2スポーツへ試乗 見た目以上の楽しさ

公開 : 2024.09.21 19:05

オリジナル以上に一緒の時間が楽しい

アクセルレスポンスも同様。加減速時に生じる前後方向の傾き、ピッチングが抑えられ、クルマ自体の反応が鋭い。ブレーキレスポンスにも、同じ変化が生まれている。

加えて、我慢を強いるほどのハードさとの引き換えではないことが素晴らしい。ACS2スポーツの乗り心地は、日常的な条件でも充分に好ましい。

ACシュニッツァー ACS2スポーツ(英国仕様)
ACシュニッツァー ACS2スポーツ(英国仕様)

路面が荒れたところを通過すれば、オリジナルのM2 クーペより揺れは目立つ。とはいえ、その差は限定的。シャシーの伸びしろを考えれば、驚くほど小さい。

漸進的なオーバーステアで、ドライバーを刺激する姿勢も備わる。ACS2スポーツは、角が丸められたマッスルカーではなく、引き締まったアスリート。オリジナル以上に、一緒の時間が楽しい。

路面へ低く構えたスタンスも、気持ちをくすぐるはず。オレンジではなく、落ち着いたシルバーの塗装にダーク・ゴールドのホイールというコーディネートでも、かなり特別な容姿に仕上がるだろう。エアロキットなどを加えなくても。

BMWは、2025年にM2 CSをリリース予定。これも傑出した仕上がりになるはずだが、英国価格は唸るほど高く、注文開始とほぼ同時に完売すると予想できる。

状態の良いM2 クーペの中古車を探し、ACシュニッツァーへ作業の予約を入れるというチョイスも、英国なら悪くない。オリジナル以上に素晴らしいドライバーズカーを、我が物にできる。

ACシュニッツァー ACS2スポーツ(英国仕様)のスペック

英国価格:10万1000ポンド(約1939万円)
全長:4580mm(通常M2)
全幅:1887mm(通常M2)
全高:1402mm(通常M2)
最高速度:284km/h
0-100km/h加速:3.9秒
燃費:8.2km/L
CO2排出量:223g/km
車両重量:1725kg
パワートレイン:直列6気筒2993cc ツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:560ps/6000rpm
最大トルク:66.1kg-m/3750rpm
ギアボックス:8速オートマティック(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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