プジョーe-3008 詳細データテスト 快適で取り回し良好 効率はクラス平均並み 走りは物足りず

公開 : 2024.09.14 20:25  更新 : 2024.09.19 03:59

走り ★★★★★★★☆☆☆

新型プラットフォームと200psオーバーのモーターを組み合わせたe-3008だけに、ステランティスの既存のEVより自己主張の強い走りが期待されるところだ。ところが実際は、フィアット600eジープ・アヴェンジャー・エレクトリックと比較しても、馬力荷重比に目立ったアドヴァンテージがない。

いくら小容量版バッテリーと低出力版モーターでも、旧型プラットフォームのe-CMPを用いる小型モデルと大差ないのは物足りない。101ps/tというのは、同クラスのライバルに対して最低でも20%ほど低い。シングルモーターでも、それ以上の差をつけているものさえある。

スポーティを売りにしているクルマではないことを踏まえれば、まずまず納得の動力性能。オールウェザータイヤも、ハンドリングや制動性能を目立って損なうものではない。
スポーティを売りにしているクルマではないことを踏まえれば、まずまず納得の動力性能。オールウェザータイヤも、ハンドリングや制動性能を目立って損なうものではない。    MAX EDLESTON

しかし、おそらくそれは、クルマのポジションがスポーティなテイストでドライバーに訴求するものでなければ許せるところだ。そして、だいたいのところ、このe-3008はそういうクルマだ。ドライコンディションなら、0-97km/hは8.5秒、0-100km/hは8.9秒。まずまず速いが、加速性能にはさほどこだわらないという、ほぼプジョーの主張どおりだ。

スムースでリニアな前進は、ゼロからのプログレッシブなトルクデリバリーや、シンプルな操作形態のおかげで容易だ。プジョーがほかのEVには用意していないパドル調整式の回生ブレーキを装備しており、ワンペダルに近い運転ができるBレンジもある。

完全停止にはペダルでのブレーキ操作が必要だが、それも少なくとも競合車のいくつかよりはプログレッシブでうまくチューンされている。これにより、コーストで運動エネルギーを節約することも、スロットルを抜いて強めに回生することも、好みに応じて選べる。

テスト車にはオプションのアドバンストグリップコントロールシステムが装備され、それに伴いミシュラン製タイヤは標準アイテムのe-プライマシーからオールシーズンのクロスクライメートへ交換されている。それでも乾いた舗装では、直線加速でのトラクションに問題はなく、限界ハンドリングテストでのエキサイティングなコーナリング時に断片的なホイールスピンが出るだけ。乾燥路面での制動距離も、なかなかのものだ。

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