【モントレー・カーウィーク】 幻のホンダ車も登場!  ウェッジシェイプカーがペブルビーチに集結

公開 : 2024.09.11 17:45

毎年8月中旬、アメリカ・カリフォルニア州モントレーに様々なカーイベントが集う週末、通称「モントレー・カーウィーク」。ここでは「ペブルビーチ・コンクールデレガンス」をご紹介します。

73rdエディションは攻めのインパクト

世界最高峰のクラシックカー・コンクールデレガンスたる、「ペブルビーチ・コンクールデレガンス」(以下ペブルビーチ)。2024年の73rdエディションはまさに「攻め」の大きなインパクトがあった。

世界16ヵ国から参加した214台の中からベストオブショーを獲得したのは、1934年ブガッティ・タイプ59であった。最初のタイプ59であり、ワークスカーとしてグランプリ優勝など輝かしい戦歴を持ち、当時のリヴァリーのまま維持されている。つまり当時のまま手が加えられることのない、「プリザベーションクラス」に出展されたモデルであった。

ベストオブショーを獲得した、1934年ブガッティ・タイプ59。
ベストオブショーを獲得した、1934年ブガッティ・タイプ59。    越湖信一

レストレーション技術の評価という大きな大義名分のあるクラシックカーコンクールデレガンスにおいて、レストアを否定したプリザベーションの個体が、ベストオブショーを取るということに対して、審査の中でも様々な意見が交わされたという。

なにはともあれ、この世界最大のベンチマークであるペブルビーチの決断に、大きな注目が集まった。

そして、さらに大きいインパクトは、「ウェッジシェイプコンセプトカー&プロトタイプクラス」という特別カテゴリーが設けられたということだ。

ウェッジシェイプとはくさび形の直線的フォルムのことを意味し、ランチア・ストラトスHFゼロや、ランボルギーニカウンタックなどが代表例だ。

今まで、メーカーやコーチビルダー(カロッツェリア)、はたまた、ある特定の時期に焦点を当てた特集は存在したが、ウェッジシェイプというかなり漠然として幅広いコンセプトを包括するようなものは、初めてのことだろう。

ウェッジシェイプに対する解釈は?

ペブルビーチ選考委員によれば、ウェッジシェイプに対する解釈は「1950年代のいくつかのプロトタイプにくさび形デザインのフォルムが誕生し、1960年代から1980 年代に至るコンセプトカーにおいて大きなトレンドとなった。

注目すべき事例はギア・ストリームラインXから始まり、アルファロメオ・カラボ、フェラーリ・モデューロ……」とある。

ストラトスHFゼロのオーナーでコレクターのフィリップ氏(左)と奥山清行氏。
ストラトスHFゼロのオーナーでコレクターのフィリップ氏(左)と奥山清行氏。    越湖信一

ちなみにそのカラボやストラトスHFゼロ、カウンタックのデザイナーであるマルチェッロ・ガンディーニが本年3月に死去したことと、このカテゴリー誕生とは関係がない。昨年より既にこの企画は進んでいたからだ。

しかしクラシックカーコンクールデレガンスとしてこの比較的新しいデザイントレンドを今大会のメインとしてフィーチャーする(それも時代別に2カテゴリーも)というのは、繰り返し言うが、かなりの「攻め」ではないか。

さて、会場には選考委員会のコメントにもあった、1955年ギア・ストリームラインXクーペジルダを皮切りに1970年フェラーリ・モデューロ、1970年ランチア・ストラトスHFゼロ、1970年メルセデスC111、1973年アウディ・アッソ・ディ・ピッケ、1975年ランボルギーニ・カウンタック、1976年フェラーリ・レインボ-などが、前半カテゴリーに並んだ。

まさに時代を超えた美しさがそこにあり、全く古さを感じさせないところは、まさに感動ものだ。スタイリング面のみならず、エンジニアリング的にも興味深いものを見ることができる。

ギア・ストリームラインはガスタービンエンジン、C111はロータリーエンジン(4ローター!)と、パワートレインだけを取ってみても多様性を見ることができる。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    越湖信一

    Shinichi Ekko

    イタリアのモデナ、トリノにおいて幅広い人脈を持つカー・ヒストリアン。前職であるレコード会社ディレクター時代には、世界各国のエンターテインメントビジネスにかかわりながら、ジャーナリスト、マセラティ・クラブ・オブ・ジャパン代表として自動車業界にかかわる。現在はビジネスコンサルタントおよびジャーナリスト活動の母体としてEKKO PROJECTを主宰。クラシックカー鑑定のオーソリティであるイタリアヒストリカセクレタ社の日本窓口も務める。
  • 編集

    平井大介

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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