ホンダS2000(1999年)

1990年代から2000年代初頭にかけては2人乗りスポーツカーの黄金時代とも言える時代だった。このホンダS2000は特に、量産車としては最強クラスの自然吸気2.0Lエンジンを搭載したことから輝いて見えたはずだ。

残念ながら、経験豊富なドライバーの手にかかると、50:50の重量バランスにこだわったにもかかわらず、全体的なレシピが適切でないと判断された。

ホンダS2000(1999年)
ホンダS2000(1999年)

反応の鈍い電動パワーステアリング、操作しにくいドライビングポジション、強いオーバーステアなどが欠点として挙げられた。素晴らしい6速トランスミッション、美しい外観、そして今日では伝説的なステータスを与えられているが、NSXの本家本元であるホンダにはさらなる輝きが期待されていた。

フォルクスワーゲン・フェートン(2002年)

フェートンは、ベントレーで威張り散らしたくない内気なお金持ちのための高級セダンとして開発された。実際のところ、その基本構造は6.0L W12エンジンを搭載したベントレー・フライングスパーと共通だ。

フェートンはVWの恐るべきボス、フェルディナンド・ピエヒ氏の肝いりのプロジェクトだった。フォルクスワーゲンにふさわしいフラッグシップモデルを作ろうと、そしてアウディの連中を油断させまいと、気合を入れていたプロジェクトだと言われている。残念ながら、その評価は芳しいものではなかった。

フォルクスワーゲン・フェートン(2002年)
フォルクスワーゲン・フェートン(2002年)

素晴らしいマシンだが、ベントレーと比べるとその繊細さが過大評価されており、現在では不評だ。もしアンゲラ・メルケル元首相が高級車をデザインしたら、おそらくこんな感じになっていただろう。

ブガッティ・ヴェイロン(2005年)

2015年、最高出力620psのポルシェ・カレラGTやメルセデス・ベンツSL 65 AMGを引き離す、最高出力1000psのブガッティ・ヴェイロンが発売された。クワッドターボ、W16エンジンのヴェイロンは最高速度407km/hを記録し、当時世界最速の市販車となった。

しかし、現実の世界では誰も使いきれないパワーと速度を持つこのクルマに、大金をつぎ込む価値が本当にあったのだろうか? 全幅は2.0mもあり、市街地走行に最も不向きな部類に入る。そして、ラジエーターを10個も使用するなど、購入だけでなく維持にも非常にお金がかかる。

ブガッティ・ヴェイロン(2005年)
ブガッティ・ヴェイロン(2005年)

スバルインプレッサSTI WRX(2008年)

2008年にデビューしたインプレッサSTI WRXは、2.5Lボクサーエンジンで最高出力300psを発生し、0-97km/h加速4.8秒と四輪駆動の強力なグリップを誇る。性能数値だけを見ると、その名を冠するにふさわしい新世代モデルだった。

しかし、広告やカタログがどう伝えようと、見過ごせない点があった。スバルはドイツのライバルたちと肩を並べようとするあまり、本来の個性を失ってしまったのだ。

スバル・インプレッサSTI WRX(2008年)
スバル・インプレッサSTI WRX(2008年)

巨大なリアウィングを備えたおなじみの3ボックス・セダンは姿を消し、代わりに5ドアのハッチバックが登場した。そして、コスト削減のためインテリアを徹底的に見直したのだ。スバルのアイコンとして、もっとふさわしい姿があったのではないだろうか……。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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