【深堀りフィアット600e】 かわいい顔した電気自動車がやってきた でも中身はしっかりモノでした

公開 : 2024.09.12 11:45

ドルチェ・ヴィータな電気自動車がやってきました。その名もフィアット「600e」で以前の「500e」に対し100の魅力を追加するというコンセプトの下、遺伝子を継承しながら新たなイタリアらしさが表現されています。

フィアット600eはどんなクルマ

フィアットのフル電動車(BEV)において500eに続く第2弾として送り出されたのが600eだ。本国では昨年7月に発表されたが、いよいよ日本に導入された。

Bセグメントに位置するフィアットの新たなBEVが600eとなる。スペース、航続距離といった機能の確保に加え、美しく、楽しいスタイルと、甘美なドライビング・エクスペリエンスが、Bセグメントのパッケージに収められている。

フィアット「600e」ジャパン・ローンチ。
フィアット「600e」ジャパン・ローンチ。    田中秀宣

また車名の600は、500eに対し100の魅力を追加するというコンセプトで、『500+100』で600と名付けられた。また、バックグラウンドとして、1955年にデビューし、イタリアの国民車として大成功を収めた初代600のイメージを受け継いだこともある。

600eは内燃エンジン(ICE)を積む500に対するクロスオーバーの500Xと同じポジションにある。しかし500Xをそのまま電動化したのではなく、プラットフォームはBEV用として開発され、プジョーE-208/2008やジープアベンジャーで使用されているステランティスe-CMP2を用いる。

そのため500Xの3サイズ:4295×1795×1610mmに対し、600eでは4200×1780×1595mmとひとまわり小さくなっており、ホイールベースも2570mmから2560mmへと僅かに短くなっている。

スタイリングは500eの姉妹車であることを基本に、エクステリアとインテリアのデザインは、イタリアの美とハッピーなライフスタイルを意味するドルチェ・ヴィータの哲学を体現したという。

Bセグメントながらラゲッジスペースはクラス最大となる360Lを確保し、後席を畳めば1231Lと広大なスペースが出現する。あらたにハンズフリー・パワーリアゲートが採用され、利便性を高めている。

新採用の快適装備としては、ドライバーの疲労を軽減するアクティブ・ランバーサポート機能を運転席に設置し、クルマに近づくと開錠・離れると施錠するプロキシミティ・スマートキーが組み込まれた。

フィアットBEV最高のパワー

フィアット600eに組み込まれる走行用モーターは、交流同期式のZK02型で、最高出力は115kw/156ps、最大トルクは27.5kg-mを発揮し、前輪を駆動する。大柄なボディなだけにパワーアップされたもので、ステランティスのBセグメントBEVの中で最大となる。ちなみに、これまでの出力トップはアバルト500eの114kW/155psだった。

動力用主電池はリチウムイオンで、総電圧375V、総電力量は54.06kWhとなる。この容量はステランティスのBセグメントBEVの中で最大となる。

フィアット「600e」ジャパン・ローンチ。
フィアット「600e」ジャパン・ローンチ。    田中秀宣

航続距離はWLTCモード国土交通省審査値で493kmと発表され、こちらもステランティスのBセグメントBEVの中で最長を記録している。

ファミリーカーとして使用されるクルマだけに、ADAS(先進運転支援システム)も充実。

フィアット初採用となるレーン・ポジション・アシストのほか、アダプティブ・クルーズ・コントロール、衝突被害軽減ブレーキ(歩行者検知機能付き)、レーン・キーピング・アシスト、トラフィック・サイン・レコグニション、ブラインドスポット・モニター、ドライバー・アテンション・アラート、スタビリティ・コントロール、360°パーキングセンサー、リアパーキングカメラと満載で、これらは標準で備わる。

サスペンションはフロントがマクファーソンストラット+コイルスプリング+スタビライザー、リアはトーションビーム+パナールロッド+コイルスプリングという、近年のフィアット小型車の定番といえる構成となる。ステアリングには電動アシストが備わる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。
  • 撮影

    田中秀宣

    写真が好きで、車が好きで、こんな仕事をやっています。
    趣味車は89年式デルタ・インテグラーレ。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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