【深堀りフィアット600e】 かわいい顔した電気自動車がやってきた でも中身はしっかりモノでした

公開 : 2024.09.12 11:45

チーフデザイナーが来日

ジャパン・ローンチに際してイタリアのフィアット本社から、フィアット全モデルを受け持つチーフデザイナーのフランソワ・ルボワンヌ氏が来日し、600eのデザイン開発時の様々なエピソードが語られた。

3年前に就任し、フィアット・ブランドにスマイルを与えたいと意気込む彼は、600eのデザインを始めるにあたって「フィアット・デザインのDNA」をアーカイブ化し、再確認。そこにイタリアの風土や食材をイメージし、今後のデザインに何が必要か議論したという。

フィアット「600e」ジャパン・ローンチ。
フィアット「600e」ジャパン・ローンチ。    田中秀宣

500に始まる「かわいい」、「愛らしい」造形は、デザイン部門内では「ドルチェ・ビータ・デザイン」と呼ばれているそうだ。500eから採用された、まぶたを思わせる人間味のある愛らしいデザインのヘッドランプも、600eに受け継がれている。

600eは当初、ヌウォーバ500のイメージを受け継ぐ拡大版としてデザインがスタートしたものの、まとまりが悪くボツに。そこで初代600のスロープした猫背リアスタイルを取り入れたところ、整ったデザインが完成したという。

またヘッドランプ廻りのデザインも初代600の初期型にインスパイアされたもので、ランプに連なるモールディングを600eではオーナメントに落とし込んでいる。

インテリアにも初代600のモチーフを数多く取り入れたと語られた。シンプルな塗装仕上げを思わせるインストゥルメントパネルや、メーター・クラスター、2本スポークのステアリングホイールがそうだ。

これからのフィアット・デザインはディテールにこだわりを持つ新たなイタリアらしいものとし、過去の要素は受け継ぎながらも古さは残したくないという。フィアットの遺伝子を継承しながら、モダンなディテールを未来につなげてゆきたい、と述べてくれた。

フィアット「600e」の詳細

フィアット600eは日本へは「ラ・プリマ」グレードが導入される。ボディカラーはホワイト、サンセット・オレンジ、スカイブルーの3色を用意(ホワイト以外は有償色)。車両本体価格は585万円と発表され、9月10日から受注を開始している。

昨年9月に1.2L直列3気筒ガソリンエンジンを積み、マイルドハイブリッドを備えるフィアット600ハイブリッドがイタリアで追加されている。ステランティス・ジャパンでは2025年春に日本へ導入予定と発表された。

フィアット「600e」ジャパン・ローンチ。
フィアット「600e」ジャパン・ローンチ。    田中秀宣

また、フィアット600eの日本デビューを記念して9月23日(祝)まで、二子玉川ライズ・ガレリアで『フィアット・チャオ600eフェスタ』が開催されている。

話題の600eをはじめ、フィアット現行モデルの展示や、600e特別試乗会(9月21~23日のみ)のほか、ジェラートが絶品のフィアット・カフェも出店。こちらにも注目だ。

スペック フィアット600e

価格:585万円
全長:4200mm
全幅:1780mm
全高:1595mm
ホイールベース:2560mm
最高速度:150km/h
0-100km/h加速:9.0秒
航続距離:493km
車両重量:1580kg
パワートレイン:交流同期電動機
駆動用バッテリー総電力量:54.06kWh
電動モーター最高出力:156ps/4070~7500rpm
電動モーター最大トルク:27.5kg-m/500~4060rpm
駆動方式:前輪駆動
変速機形式:1速リダクションギア
タイヤ:前/後:215/55R18

記事に関わった人々

  • 執筆

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。
  • 撮影

    田中秀宣

    写真が好きで、車が好きで、こんな仕事をやっています。
    趣味車は89年式デルタ・インテグラーレ。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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