「シトロエンSM」現代に復活 DSが “1970年代スタイル” の高級車発表 車高わずか1.3m

公開 : 2024.09.13 06:05

DSが新型コンセプト「SMトリビュート」を公開した。1970年代のシトロエンSMにインスパイアされたモデルで、サイズを維持しながら先進的な技術と機能を採り入れている。

空力に配慮した最新装備満載のクーペ

フランスのDSは9月11日、新型のコンセプトカー「SMトリビュート(SM Tribute)」を欧州で公開した。1970年発売のシトロエンSMにインスパイアされたレトロなデザインを特徴とする。

SMトリビュート・コンセプトは、DSがシトロエンから分離して独立ブランドとなってから10年を記念して製作された。市販化の計画は定かではないが、今後の市販車デザインを示唆するものとされている。

DS SMトリビュート・コンセプト
DS SMトリビュート・コンセプト    DS

オリジナルのシトロエンSMは1960年代後半、当時のフラッグシップセダンであったDSの後継として、よりスポーティなモデルを目指して開発された。開発はマセラティとの協業体制で行われ、マセラティ製V6エンジンとハイドロニューマチック・サスペンションを採用した。

その他にも、回転式ヘッドライト、可変アシスト・パワーステアリング、自動ワイパー、インボード・フロントブレーキなど、当時最も革新的なテクノロジーを満載し、快適性や空力性能に優れていた。

その精神を受け継ぐSMトリビュート・コンセプトは、低く流麗な2ドア・クーペで、長く突き出たボンネットと鋭角的なフロントエンドを持つ。全長4940mm、全幅1980mm、全高はわずか1300mmで、オリジナルとほぼ同じサイズだが、DSは「効率性を追求した結果」、35mm地面に近い位置に収まったとしている。

SMへの明らかなオマージュとして、空力性能を高める(取り外し可能な)リアホイールスパッツ、1970年代風のゴールドリーフ塗装などがある。

DSのデザイン責任者であるティエリー・メトロス氏は、同ブランドのファンは「伝統を象徴するモデルに非常に愛着を持っている」ため、「オリジナルのデザインを損いたくなかった」と語っている。

しかし、「他の仕事と切り離すつもりはなく、DSオートモビルズのモデルや将来のプロジェクトについての詳細を多く盛り込んだ」という。

具体的にどのような特徴が市販車に引き継がれるかは明らかにしていないが、3本ラインのライトシグネチャー、空気抵抗に配慮したカメラ型サイドミラー、大きなエアチャンネルを持つボンネットベントなどが候補に挙がりそうだ。

また、インテリアはオリジナルのSMに敬意を表しつつ、未来を示唆するデザインとなっている。

SMを模したダッシュボードにレトロなインストゥルメント・クラスターを搭載し、シートは1970年代を彷彿とさせる横ストライプのクッションで飾られている。

また、インフォテインメント・システム用のプロジェクション・ディスプレイ、曲面クラスター、ステア・バイ・ワイヤーなど、先進的な装備も特徴的だ。

パワートレインなどの詳細は明かされていない。シトロエンとマセラティは現在、同じステランティスを親会社とする兄弟ブランドとして密接な関係にある。そして、マセラティは現在もV6エンジンを生産しているが、もしコンセプトが市販化されてもEVとなる可能性が高い。

DSは来年、2車種の中型車を新たに発表する予定だ。2020年公開のエアロスポーツラウンジ・コンセプトをベースにしたSUVと、現在のDS 9に代わるセダンだ。どちらもステランティスのSTLAミディアム・プラットフォームを採用し、電動化に対応する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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