フィアット・ウーノ・ターボ(1985年)

標準のウーノとターボ車の違いを見分けるのはかなり難しい。助手席側は形状よりも収納を優先して削り取られ、ステアリングホイールの後方には相変わらず大型のコントロールパネルが配置されている。

クラスターにはターボブースト計と150mph/240kphのスピードメーターが装備されている。現在でも、ホットハッチの中でも最も見栄えのするディスプレイの1つと考えられる。

フィアット・ウーノ・ターボ(1985年)
フィアット・ウーノ・ターボ(1985年)

シトロエンBXディジット(1985年)

BX自体も十分に風変わりだったが、1985年、シトロエンは限定モデルとしてディジット(Digit)を導入した。ダッシュボード・デザインはドライバー中心で、新しいデジタルダッシュとオンボード・コンピューターが搭載されたことから、この名が付けられた。

オンボード・コンピューターは取り外し可能なカセット・プレーヤーのすぐ下にある。計器盤の中央にはデジタル・グラフィック・ディスプレイが配置され、左右の2つのスクリーンにはドアが開いていることの通知や警告灯が表示される。

シトロエンBXディジット(1985年)
シトロエンBXディジット(1985年)

ランチア・デルタHFインテグラーレ(1987年)

インテグラーレのダッシュボード形状に派手さはなく、ディスプレイがすべてだ。イエローの文字にイエローの針が、ダークなバックパネルと完璧に調和している。アクセルを踏み込むと、レブカウンターが天辺に向かってスーッと伸びていく。

これらのすべてが、輝かしいサウンドトラックと相まって、特別なクルマを操縦しているという実感を与えてくれる。

ランチア・デルタHFインテグラーレ(1987年)
ランチア・デルタHFインテグラーレ(1987年)

ビュイック・レアッタ(1988年)

ゲーム機、テレビ、コンピューターが台頭した1980年代、ビュイックは自動車に革新をもたらした。レアッタは、テレビと同じ技術を採用したオールデジタルのCRTセットアップを導入し、ダッシュボードにはタッチスクリーンが貼り付けられている。

ドライバーはさまざまなサブメニューにアクセスすることができる。ダッシュボード自体もさまざまな色を指定できた。

ビュイック・レアッタ(1988年)
ビュイック・レアッタ(1988年)

キャデラック・アランテ(1986年)

高級車ブランドとしての地位を維持するため、キャデラックはアランテと呼ばれる新型車を発表した。アランテのデザインにはピニンファリーナが起用され、ピニンファリーナらしく少し派手な仕上りとなった。

ダッシュボード中央にはアップライトのテープ・デッキがあり、ドライバー・インフォメーション・センターと電子制御式クライメート・コントロールも付いている。速度や回転数を表示するデジタル・ディスプレイはさながらコンパスのようで、そのクールさをさらに引き立てているのが大型の2本スポーク・ステアリングホイールだ。

キャデラック・アランテ(1986年)
キャデラック・アランテ(1986年)

(翻訳者あとがき:AUTOCARの英国記者が少し皮肉を交えながら、70~80年代のダッシュボード・デザインを紹介する記事です。私事で大変恐縮ですが、平成生まれの翻訳者にとって、この記事で取り上げたデザインはとても斬新で興味深いものばかりでした。使い勝手に疑問が残るものも一部ありますが、これらを見る限り、当時は「デジタル」や「コンピューター」という単語のインパクトが今よりも強かったように思われます。現代に置き換えると、「AI」や「サステナビリティ」などの言葉に置き換わるのでしょうか。皆様はどのダッシュボードがお好きですか? 翻訳者はアルシオーネとBXが好みです)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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