目指すはクルマ開発「ワンストップ型」施設 ホリバMIRAへ潜入 超リアルなシミュレーター

公開 : 2024.09.28 19:05

自動車開発のワンストップ施設を目指す

最後に案内していただいたのは、サイバーセキュリティの試験施設。大学などの研究室に似た雰囲気だが、クルマのハッキング耐性や車載システムが作る磁場のシールド性を確認できる、最先端の技術を有するらしい。

デモでは、ノートパソコンとトランシーバーを携えた技術者が、様々な周波数の電波をクルマへ当ててみせた。コネクテッドカーの場合、車載システムは特定の電波を送受信している。ハッカーはその周波数を割り出し、個人情報へアクセスするそうだ。

ホリバMIRAの施設の様子
ホリバMIRAの施設の様子

多くの新モデルの場合、システムは安全性が高く、個人情報が盗み出されるケースは少ない。しかし、ダウンロードされたアプリは、必ずしも高度なセキュリティ対策がされているわけではない。

「弊社は、英国での自動車開発のワンストップ施設になりたいと考えています。100年の歴史を持つトランスミッション・メーカーやヘッドライト・メーカーでも、まったく新しい自動車ブランドでも、是非当社を頼っていただきたいですね」

ホリバMIRAの経営責任者、デクラン・アラン氏がビジョンを語る。AUTOCARでも、この場所は定期的に試乗テストで利用してきた。だが想像以上に、幅広い技術開発や機能試験に対応しているのだった。

革新的で多様的、未来志向の姿勢が、筆者の胸へ強く響いた。激変する自動車業界にあって、時代の流れを掴もうとしている。古い石畳のコースは、まだどこかに残っているのだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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