【KINTO Unlimited】 クルマのサブスクが進化? 安さだけではないサービスに注目

公開 : 2024.09.20 07:05

トヨタが2019年よりスタートしたクルマのサブスクリプションサービス、『KINTO(キント)』。そのKINTOが新たなサービス、『KINTO Unlimited』をスタートさせています。一体どのようなサービスで、どんな進化を遂げているのでしょうか?

クルマのサブスク、そのパイオニアによる新サービス

愛車の購入方法のひとつとして関心が高まっている、クルマのサブスクリプションサービス。そのパイオニアといえるのが、トヨタが2019年よりスタートさせた『KINTO(キント)』だ。

クルマに月額定額払いで乗れるコストの明朗さから、徐々にユーザーを拡大している。そのKINTOの新たなサービスが、”進化するクルマ”を謳う『KINTO Unlimited』。一体どのようなサービスなのだろうか。

KINTOが新たなサービスとして展開する、「KINTO Unlimited」。
KINTOが新たなサービスとして展開する、「KINTO Unlimited」。

KINTOのサブスクは、契約期間、月々の定額払いでクルマを所有できるサービスだ。料金にはメンテンナンス代や税金、任意保険など、クルマの所有コストのすべてが含まれる。

そして、手厚い任意保険は全年齢をカバーし、もしも事故で車両の破損が生じても、1事故あたり、5万円の負担で済む。現在は、様々なトヨタ車やレクサス車に加え、スバル車も選べるようになった。さらにKINTOで使われていた車両から上質な車両を厳選した、『KINTO ONE中古車』も提供される。

2023年1月よりスタートした『KINTO Unlimited』はサブスクに、”進化=アップグレード”と”見守り=コネクテッド”というふたつの付加価値を与えたものだ。ユーザーの利便性が高まるだけでなく、クルマの市場価値をできるだけ高く維持することを狙う。

そのため、価値の向上分を先にサブスクの料金に反映させ、価格設定を抑えたのも新しい施策だ。第1弾の新型プリウス専用グレード『U』では、従来型の同等グレードと比較し、3年間契約の場合で、月額6710円安い4万9940円とした。”進化する機能”を備えながら、より価格も安くなるという驚きのシステムだ。

"進化"と"見守り"というふたつの付加価値

“進化する機能”とは言い換えると、後付けができないメーカーオプションのような車載装備を、購入後に追加できるようにしたことだ。

プリウスUでは、高度運転支援機能『トヨタチームメイト』や、先進運転支援機能『トヨタセーフティセンス』の機能拡張など安全機能に加え、ディスプレイオーディオを大画面の12.3インチへアップデートしたり、スマホをクルマのキーとして使える『デジタルキー』などの快適機能が後付け可能となっている。

サービスの第一弾は、新型トヨタ・プリウスの専用グレード「U」で採用。
サービスの第一弾は、新型トヨタ・プリウスの専用グレード「U」で採用。

ソフト面ではOTA(オーバー・ジ・エア)によるソフトウェアの更新で、『トヨタセーフティセンス』を最新の状態に進化させていく、トヨタ初の試みとなっている。

“見守り機能”では、コネクテッドサービス『Tコネクト』を活用。ドライバーの運転データを収集、分析することで、安全運転と燃費向上に繋がるアドバイスを行うアプリ『コネクテッドトライブトレーナー』と、消耗品の劣化により最適な工場入庫を提案する『コネクテッドカーケア』がある。

これらデータの将来的な活用にも取り組んでいる。そのひとつが、ブロックチェーン技術を用いた安全運転の証明書の発行だ。現在は実証実験の段階だが、その証明書を持つ優良運転の顧客が、KINTOを含めたモビリティサービスをお得に利用できる仕組みを検討しているという。

また、メンテナンス記録や修復歴の有無、修理内容などの車両情報とも結びつけることで、『KINTO ONE中古車』の価値を高めることにも取り組みたいとしている。これらは更なるKINTO(新車)の価格低減に繋がる可能性もあり、KINTO利用者全体のメリットが高まると期待される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    大音安弘

    1980年生まれ、埼玉県出身。幼き頃よりのクルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在は自動車ライターとして、軽自動車からスーパーカーまで幅広く取材を行う。原稿では、自動車の「今」を分かりやすく伝えられように心がける。愛車は、スバルWRX STI(VAB)とBMW Z4(E85)など。
  • 編集

    平井大介

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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