実は「現行M4」に迫る中間加速 BMW i3 UK中古車ガイド レンジエクステンダー付きがオススメ

公開 : 2024.10.02 19:05

BMWの「i」の先陣を切ったi3 古さを感じさせない見た目 バッテリーEVとエンジン付きハイブリッドが存在 M4に迫る中間加速 コーナリングも強み 英編集部が魅力を振り返る

今でも古さを感じさせないスタイリング

BMW i3を新車で購入した人は、かなり未来志向だったに違いない。登場は2013年で、その頃としてはクラス最高の完成度をAUTOCARでは絶賛している。惜しまれつつ、2022年7月に生産終了を迎えた。

i3は6年間の月日をかけて開発され、極めて高水準な技術が投入されていた。航続距離は10年前では優秀といえ、加速は最高速域まで衰えず、斬新なスタイリングは今見てもまったく古さを感じさせない。

BMW i3(2013〜2022年/英国仕様)
BMW i3(2013〜2022年/英国仕様)

このプロジェクトは極秘扱いとされ、ドイツ・ミュンヘンの研究開発センター内でも、一部の人しか詳細を知らなかった。発売と同時に多くの物議を醸し出し、社内には開発費が無駄になったと嘆いた人もいたらしい。

それでも、その後のBMWだけでなく、ハイブリッドやバッテリーEV全体へ与えたインパクトは大きかった。英国ではテスラモデルSより発売は早く、未来のクルマが従来的なサルーンとは異なる可能性があることを、われわれへ印象付けた。

i3最大の特徴が、限界へ挑戦したような設計にある。アルミニウム製シャシーの上に、カーボンファイバー製ボディが架装され、車重は1290kgと軽量。ルノー・ゾエより300kgも軽く仕上がっていた。

パワートレインは、2種類から選べた。最高出力170psの駆動用モーターが載った、航続距離160kmのバッテリーEV仕様が、その1つ。バイク用の2気筒647ccガソリンエンジンが発電を担う、レンジエクステンダー付きハイブリッド仕様、RExも選択できた。

M4に迫る中間加速 コーナリングも強み

駆動用バッテリーの容量は、当初22kWh。その後、33kWhと42.2kWhも追加されている。いずれもシングルスピードのトランスミッションを介し、駆動用モーターがリアアクスルを駆動する。

0-100km/h加速は、BMW 320dと同等の7.3秒。中間加速は鋭く、80kmから120km/hまで4.9秒でこなす。これは、現行のBMW M4に0.5秒遅れるだけだ。

BMW i3(2013〜2022年/英国仕様)
BMW i3(2013〜2022年/英国仕様)

動力性能に加えて、i3の強みといえるのがコーナリング。背が高めのプロポーションながら、ボディロールは小さく、充分なグリップとシャシーバランスを獲得している。カーブが連続する郊外の道を、爽快に駆け回れる。

2018年にフェイスリフトを受け、スポーティなi3 sが登場している。最高出力は11psアップし、車高は10mmダウン。トレッドは40mm広がり、20インチのホイールをハイグリップなタイヤが包んだ。安定性が向上し、運転の魅力度も増していた。

インテリアは高級ラウンジのようで、耐久性も高い。トランスミッション・トンネルがなく、シンプルなダッシュボード回りで、実際の広さ以上の開放感もある。インフォテインメント・システムは、当時のiドライブ。ロータリーダイヤル付きだ。

中古車で選ぶなら、レンジエクステンダー付きのi3 s RExが英国編集部のオススメ。ハイブリッドで航続距離は305kmと長いから、毎日の通勤にも充分耐えられるはず。

ハンサムですばしっこく、広々としたi3。仕様次第で充分な航続距離も得られる。その魅力に惹かれ、アウディのチーフデザイナーだった人物は、2台購入したという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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