ついに聞こえてきた新型ロータス・スポーツの足音。新コンセプト、セオリー1登場!

公開 : 2024.09.17 17:07

ロータスの純粋なミニマリズムを未来の方法で

コクピットでは、プロジェクション、スクリーン、パプティクス(振動)とデザインがシームレスに統合。”ボーダレスなユーザー体験”を生むとしている。前述した膨張式ポッドに加え、ライト、LED、レーザー光線、フロントガラスの反射を利用し、障害物検知、ブレーキ、旋回などの情報をドライバーに伝えるデジタルシステムや、ダッシュボード上のふたつのレーザー光線が右左折を示し、シートの触感的膨張素材と調和、RGB LEDを追加したサスペンションが車内から見えてブレーキや加速に応じて緑や赤のシグナルを発する、2D、3Dのグラフィックなど……。

これらの機能によりドライバーは目線移動が少なくなり、より運転に集中することが可能に。スムーズで直感的な体験を提供するとしている。

プロジェクション、スクリーン、パプティクス(振動)とデザインがシームレスに統合。"ボーダレスなユーザー体験"を生む。
プロジェクション、スクリーン、パプティクス(振動)とデザインがシームレスに統合。"ボーダレスなユーザー体験"を生む。    ロータス

また『チャレンジオブ10』と呼ばれる、素材革新のテーマを創設。性能、耐久性、軽量性、リサイクル性、リサイクル可能性を兼ね備えた、10種類の”A-サーフェイスマテリアル”のみで設計したという。これにはセルロースベースのグラスファイバー、リサイクルチョップドカーボンファイバー、チタン、リサイクルグレージング、リサイクルポリエステル、リサイクルゴム、エラストマーポリウレタン、透明ポリカーボネート、熱可塑性ポリウレタン、リサイクルアルミニウムが含まれる。

ただ重要なのは、その素材名ではなく、ロータスがこう記していることだ。『チャレンジオブ10は、ロータスの純粋なミニマリズムへのコミットメントを示すもので、ロータスの伝統的なクルマが持つシンプルな構造と軽量化の原則に立ち返ったものです』。つまり、ロータスらしさである軽量なスポーツカーというDNAを、現代、いやひとつ未来の方法で実現しようとしているのだ。

新たな"セオリー=定石"を生み出そうとしている

他にも後方上部に開き、幅2.4mの駐車場でも乗り降りができるドアや、京セラによるライティングシステム、アクティブおよびパッシブエアロダイナミクス技術、低重心化、軽量化、ピレリPゼロ・エレクトなど、触れるべきところは多いが、だいぶ長文になってきたので、まとめに入りたい。

このところロータスは、BEVのエレクトやエメヤが登場したことで、我々の好きな”ライトウエイトスポーツカーを作る英国のブランド”からは離れているような気がして、事実、当サイトのSNSには批判的なコメントも目立つ。

ロータスは現代、あるいは未来の方法で、新たな"セオリー=定石"を生み出そうとしているのかもしれない。
ロータスは現代、あるいは未来の方法で、新たな"セオリー=定石"を生み出そうとしているのかもしれない。    ロータス

しかし今回のプレスリリースの中で、ロータス49のF1カーにヒントを得て、モーターとバッテリーアッセンブリを使用してサスペンションに直接力を受けるようにし、サブフレームをなくして軽量化した、という記述を発見して私はこう思った。

確かに、我々の世代が求めるような”ガソリンエンジンのライトウエイトスポーツカー”ではないのかもしれない。しかし、しっかりとロータスの歴史やDNAに敬意を払いながら現代、あるいは未来の方法で、新たな”セオリー=定石”を生み出そうとしているとのではないかと。開発陣の顔ぶれをみたわけではないが、きっとそれは、若い世代が何かを生み出そうとしているのではないかと。

だったら我々は大いなる期待をもって、その動向を見守るべきだろう。市販化のあかつきにはステアリングを握りたいし、なるほど、そうきたか! と膝を叩きたいのである。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 編集

    平井大介

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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