レクサスRC F
公開 : 2015.01.16 23:50 更新 : 2017.05.29 19:24
■どんなクルマ?
RC Fが自然吸気の5.0ℓ V型8気筒を搭載していると聞けば、ターボやスーパーチャージャーで武装したライバルよりも、純粋さを期待してしまうのも無理はない。
478psの最高出力、ほとんどが専用設計のプラットフォーム(ほんのわずかにGSとIS Fから流用する)、ザックス製ダンパー、そしてもちろん ’超’ アグレッシブなルックスをひと目見れば、乗る前から胸の高まりを禁じ得ない。
マーケティング本意に作られただけなのか、あるいはBMW M4やAMGの擁するライバルを打ち負かすだけの実力を秘めているのか、いよいよ英国の道で確かめる時がきたのだ。
■どんな感じ?
残念ながらわれわれの高い期待に応えてくれるものではない、というのが昨年9月に初試乗した際の正直な感想だった。求めれば求めるほど、ちょっぴり歯痒い気持ちになってしまうのだ。
高らかに、そして淀みなく回りゆくエンジンは5000rpmからうえで更に力強さを増し、そこからレヴ・リミットに至るまで天にのぼるような快感をともなうことは間違いようのない事実だ。
サーキットや一般道を問わず味わえるこの感覚には、なんの脚色も雑味もない。たしかにBMW M4の方が速いけれど、思わず目を見開き、汗をどっと吹きながら感じる胸の高まりは明らかにRC Fのエンジンの方が上だ。
ただ8速ATという、足を引っ張る存在を無視できないのは今回も変わらず。変速を車体側に任せると、ほんのわずかにタイムラグが生じるのだ。マニュアル・モードではそのようなことがないだけに改善を望みたい。
もっともアグレッシブなスポーツSセッティングにした際のスロットル・レスポンスにも奇妙な感触がある。イニシャル・レスポンスのみが異様に敏感なのだ。478psを引き出すにはやや不安が残る仕立てだと感じる。
その反面、ブレーキの完成度は非常に高い。ハードな走行を繰り返すような局面でも、安心して制動力に身を委ねることができるうえ、わずかな踏力の調整にも細かく応えてくれるのだ。
このおかげで、ややブレーキングを引きずりながらコーナーに侵入していき、アンダーステアになるほんの手間でやり過ごすという、RC Fに向いた乗り方も簡単にできる。