フォルクスワーゲン・パサート1.6 TDI S
公開 : 2015.01.16 23:40 更新 : 2017.05.29 18:57
■どんなクルマ?
もっとも安価でお財布にやさしいこのディーゼル・パサートは、社用車としてもっとも多く売れることになるだろう。
すでにこれより上級のグレードを国内外で試したわれわれは、こちらのエントリー・モデルにもフォルクスワーゲンの恐るべきプラグマティズムが与えられているのかを試してみることにした。
エンジンはフォルクスワーゲン内製の1.6ℓ TDI。ユーロ6エミッションに適合済みで、先代からわずかなパワーアップが図られている。組み合わされるギアボックスは6速のMTとなり、0-100km/hタイムは10.8秒と公表されている。
ここまで読むとなかなかの優等生に思えてくる。しかし英国でカンパニー・カーとして使用する際により重要なのは、どれほどのCO2を排出するかである。これにより必要コスト(税金)が上下するのだから。
105g/kmの排出量は、目を見張るほど少ないとはいい難い。現にライバルの新型フォード・モンデオはパサートよりも税金が3%安く済む。ヴォグゾール・インシグニアだってパサートより2%安価だ。
マツダ6(日本名:アテンザ)に至っては、パサートよりずっとパワーがあり、英国における車両価格が同等であるにもかかわらず、税金はもっと安く済む。スペック・シートを見るかぎり、やや不安を感じるのも事実だ。
■どんな感じ?
動き出せば、先述の ’陰り’ は穏やかに息を潜めはじめる。エントリー・レベルであるにもかかわらずインテリアの質感が非常にたかく、手で触れたときの感覚も好印象であることがその理由だ。
シートの幅にも余裕があり、座り心地もいい。各スイッチの配置には、独特の癖などが全くなく、前後列ともに収容能力も十分だ。たしかに華やかさには欠ける印象ではあるけれど、質感単体でみればメルセデス・ベンツCクラスやアウディA4のエントリー・モデルに比べても、頭ひとつ抜けている印象である。
エンジンは同クラス中もっとも静かだとはいえないものの、キャビン内にガラガラ音や振動が伝わってくることはない。2000rpmから3000rpmあたりでは、たしかにエンジン音が耳に届くけれど、他のライバルのようにあからさまなパンチを与えることはなく、自然吸気ユニットにちかい常にナチュラルな感覚をもたらす。