【詳細データテスト】マセラティ・グラントゥーリズモ 快適志向のGT ただしドライビングも楽しめる

公開 : 2024.09.21 20:25

テストコース ★★★★★★★★☆☆

テスト中は天候に恵まれ、4WDの必要性を感じないようなコンディションだった。冬道でのような走りを再現するには、ウェットハンドリングコースが必要となった。

トラクションは常に強力で、ホイールスピンで安定感を失うことなく大パワーを使うことができた。走行モードをGTやコンフォートにしておけば、コーナーでもドライバーを安心させ、電子制御システムはスライドする前にすべらないよう抑え込む。それでいて、もともとの後輪駆動的なキャラクターを鈍らせることはない。

ウェットコースでも安心感はあり、ステアリング越しのインフォメーションも豊富で走りやすいが、フロントのグリップはやや不足している。
ウェットコースでも安心感はあり、ステアリング越しのインフォメーションも豊富で走りやすいが、フロントのグリップはやや不足している。    JOHN BRADSHAW

スポーツモードではシステムの制御が緩み、ドライビングを楽しめるが、分別ある範囲に収まる。コルサモードでは、どうみてもスタビリティコントロールがオフになっているのを感じさせ、4WDシステムは真っ直ぐ走らせようとすることもあるが、テールスライドさせることができるようになる。下段のタッチ画面でESCを完全に切らないと、システムがいかに補助してくれていたかを思い知る。

このグラントゥーリズもですべりやすいコンディションへ踏み出すのをためらわせる要素があるとしたら、比較的限られたフロントのグリップだ。すばらしいステアリングは、フロントがワイドに流れそうな場合に十分すぎるほどに注意を喚起して、乗りこなせるようにしてくれるが、寒くて路面が濡れがちな季節には冬タイヤを履いたほうがいい。標準装着のグッドイヤーは、水たまりでも明らかに苦戦するのだから。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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