変速と操舵に心が躍る! ブリストル406 S(2) 運命が決まっていたプロトタイプ・クーペ

公開 : 2024.10.06 17:46

ボディ別体の構造としては高い洗練度

燃料系とブレーキは、最近リビルドを受けたばかり。タイヤとエグゾーストは新品に交換され、クロームメッキのトリム類も新調された。しかし、オリジナルのバンパーまでは再現されなかった。

ドアを開くと、明るい車内が迎えてくれる。自然な運転姿勢がブリストルらしい。ダッシュボードに並ぶ、メーターの配置も同様だ。

ブリストル406 S(プロトタイプ/1958年/英国仕様)
ブリストル406 S(プロトタイプ/1958年/英国仕様)

フロントシートはリクライニングでき、背もたれにはショルダーサポートも備わる。ドライバーが快適に運転できることを、初めから充分考慮された設計にある。

キーを回しボタンを押すと、シャシーレール間の高い位置へ収まった、2.2L 6気筒エンジンが目覚める。アクセルレスポンスは軽快で、サウンドはドライ。スロットルリンケージはボールジョイントで、繊細な操作に応える。

キャブレターは、3連ソレックス。シフトダウン時に吹かすと、キビキビと正確に回転数が上昇する。2速で5000rpmまで引っ張れば、100km/hに届く。3速では、140km/h近くに達する。

エンジンのサウンドは、メカニカルで心地良い。バルブギアと吸気のノイズが重なり、特有のハーモニーを生む。オーバードライブに入れて、少し静かな走りも可能だ。

乗り心地は硬め。ボディとシャシーが別体の構造としては、珍しいほど締まりがある。路面から強めの衝撃が加わっても、ガタガタと振動せず洗練度は高い。

変速と操舵に心が躍る 究極の6気筒ブリストル

変速と操舵に心が躍る。ステアリングホイールは軽く回せ、ロックトゥロックは3回転で、レシオもちょうどいい。低速域でも重すぎず、直進時はピシッとしている。シフトレバーの位置も良く、素早く次のギアを選択できる。

コーナリングはニュートラル。正確な操縦性で、ドライバーの意志へ報いてくれる。現代のカーブやアスファルトでは、安定性や落ち着きを失うことはない。至って活発だ。

ブリストル406 S(プロトタイプ/1958年/英国仕様)
ブリストル406 S(プロトタイプ/1958年/英国仕様)

ショートホイールベースのザガート406を超えないとしても、この406 Sは、究極で最後の6気筒ブリストルだといっていい。404より美しいし、通常の406より活き活きとしている。SLJハケット社は、こんな素敵なクーペの次期オーナーを募集中らしい。

協力:SLJハケット社

ブリストル406(1958〜1961年/英国仕様)のスペック

英国価格:4244ポンド(新車時)/29万5000ポンド(約5664万円/現在)以下
生産数:171 台(406合計)
全長:4286mm
全幅:1727mm
全高:1397mm
最高速度:201km/h(予想)
0-96km/h加速:−秒
燃費:9.2-10.6km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1041kg
パワートレイン:直列6気筒2216cc 自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:131ps/5750rpm
最大トルク:18.2kg-m/3000rpm
トランスミッション:4速マニュアル(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ブリストル406 Sの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事