フェラーリ・ローマ・スパイダー 275 GTS 比較試乗(2) 史上最高なV12サウンド クーペの選択へ疑問?

公開 : 2024.10.05 09:46

自動車史上最高といえるV12サウンド

ソフトトップを開くと、フィルターなしの排気音が心地良い。長いシフトレバーを動かし、横へ飛び出た1速を選ぶ。重めのクラッチペダルを緩めると、アクセルレスポンスは想像以上に鋭い。キャブレターのセッテイングは完璧だ。

勢いよく加速させれば、自動車史上最高といえるサウンドに包まれる。低回転域では深く重層的。回転数の上昇とともにトーンを高め、乗り手の背筋をゾクゾクさせながら、壮大にクレッシェンドしていく。ローマのV8サウンドが、単調に思えてしまう。

ホワイトのフェラーリ275 GTSと、レッドのフェラーリ・ローマ・スパイダー
ホワイトのフェラーリ275 GTSと、レッドのフェラーリ・ローマ・スパイダー

パワーデリバリーは直線的。粘り強く、2000rpmからレッドライン目がけて迷うことなく吹け上がる。変速の度に、カチカチとシフトレバーがゲートに当たる。

最近、275 GTBを数台運転する機会があったが、GTSの方が全体的にソフト。60年も前のオープンカーだと考えると、操縦性の優秀さに唸ってしまう。

確かに、路面の凹凸で僅かにボディは震える。だが、14インチで扁平率70のミシュランXWXタイヤが、過度な衝撃を丸め込んでくれる。姿勢制御は落ち着いていて、適度にクイックなステアリングはダイレクトだ。

それでも、普段使いは難しいだろう。駐車場でもステアリングは重すぎないが、この時代のフェラーリは、毎日のお買い物を想定して設計されてはいなかった。

他方、ローマ・スパイダーなら、問題なく渋滞混じりの通勤にも対応できるはず。この60年間における、フェラーリ最大の進化だといってもいい。少しひねくれた、まとめ方かもしれないけれど。

フェラーリのFRコンバーチブル 2台のスペック

フェラーリ・ローマ・スパイダー(欧州仕様)

英国価格:21万838ポンド(約4048万円)
全長:4656mm
全幅:1974mm
全高:1306mm
最高速度:320km/h
0-97km/h加速:3.4秒
燃費:8.8km/L
CO2排出量:258g/km
車両重量:1664kg
パワートレイン:V型8気筒3855cc ツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:620ps/5750-7500rpm
最大トルク:77.4kg-m/3000-5750rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック(後輪駆動)

フェラーリ275 GTS (1964〜1966年/欧州仕様)

英国価格:5973ポンド(1965年)
全長:4325mm
全幅:1725mm
全高:1245mm
最高速度:241km/h
0-97km/h加速:7.1秒
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1120kg
パワートレイン:V型12気筒3286cc 自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:263ps/7000rpm
最大トルク:−kg-m
ギアボックス:5速マニュアル(後輪駆動)

ホワイトのフェラーリ275 GTSと、レッドのフェラーリ・ローマ・スパイダー
ホワイトのフェラーリ275 GTSと、レッドのフェラーリ・ローマ・スパイダー

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

フェラーリ・ローマ・スパイダー 275 GTS 比較試乗の前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事