【フィアット600e初乗り】この子は連れて帰らないとダメかも……!

公開 : 2024.09.24 17:05

フィアット久しぶりのブランニューモデルとして日本導入された、600eに編集長が初乗り。初めて買ったクルマがフィアット・ウーノ・ターボということで、思い入れを込めてレポートします。

思わず擬人化したくなる愛らしさ

photo:Ryota Sato(佐藤亮太)

フィアット600e(セイチェント・イー)は簡単に書けば、500eの姉貴分となる5ドアハッチバックだ。サイズは全長4200×全幅1780×全高1595mmと500eの全長3630×全幅1685×全高1530mmよりだいぶ大きいが、同じフィアットで現在も併売される500Xの全長4280×全幅1795×全高1610mmよりは、ひと回り小さい。

600=セイチェントはフィアットで1950年代~に、500=チンクエチェントの上級車種として使用されていた車名で、1990年代に一度復活し、今回は久々の採用となる。

500eのテイストを散りばめて、ひと目でフィアットとわかる形に。
500eのテイストを散りばめて、ひと目でフィアットとわかる形に。    佐藤亮太

“e”の名のとおりBEVで、156ps/270Nmを発するモーターをフロントに搭載し、フロントを駆動するFFだ。54kWのリチウムイオンバッテリーを搭載し、航続距離は493km(WLTCモード)で、充電は急速のCHAdeMOに対応。車重は1580kgとなっている。

ボディカラーは撮影車のスカイブルーとイメージカラーのサンセットオレンジがオプション扱いで、ホワイトが標準となる3色展開だ。グレードは『600e LaPrima』のみで、価格は585万円となる。今回はBEVのみの発表だが、イタリア本国には1.2リッター3気筒のハイブリッドがあり、それも日本導入予定だ。

こう記していくと、BEVとしてはオーソドックスなプロフィールとなるが、600eの特徴はなんといってもそのスタイリング。シルエット自体はシンプルながら、500eのテイストを散りばめることで、ひと目でフィアットとわかるファニーなデザインを実現している。ヘッドライトがどこか眠そう? と思わず擬人化したくなる愛らしさで、自宅ガレージに迎え入れた日は、新たな家族ができた気持ちになるはずだ。

走りは終始、軽快かつスムーズな印象

個人的に600eは、イタリアで発表された時から気になっていた。初めて購入したクルマがフィアット・ウーノ・ターボで、それ以来、フィアットのハッチバックが好きであり続けている。その後、プント系は正規輸入が続いたものの、1クラス上のハッチバックはブラビッシモ(本国名ブラーボ)を最後にスティーロやティーポは正規輸入されてこなかったので(500Xはあったにせよ)、今回600eが日本導入されると聞いてかなり色めき立った。セイチェントの名前もよければ、サイズも現在のライフスタイルにマッチし、……これはちょっと欲しいかも、となっていたのだ。

というわけで期待大で臨んだ試乗、第一印象は”軽い”であった。まずステアリングが軽く、車検証上の総重量は1855kgと他のBEV同様に決して軽くはないが、動き自体にそれほどの重量は感じさせず、動き出しは軽やかだ。

600eの加速はBEVらしくスムーズかつ気持ちのいいもの。
600eの加速はBEVらしくスムーズかつ気持ちのいいもの。    佐藤亮太

走行モードはエコ、ノーマル、スポーツで、センターコンソールでドライブ(D)とスイッチを兼ねるBを押すと、回生ブレーキが強めになる設定。ただし強めになるといっても、それこそワンペダルにもなる他のBEVたちと比べるとそれほど強くはなく、そちらに慣れた方には物足りないかもしれない。ちなみにパドルシフトは用意されていない。

バッテリーが床下にあることもあり重心は低めで、走りは終始、軽快かつスムーズな印象だ。BEVで静かすぎるがゆえ、多少速度を上げると外の音が結構入ってきて、ツインエアエンジンの”バタバタバタ”という音が懐かしくなったのと、路面が悪いところで少し後ろが跳ねるような場面もあったが、敢えて書けばというレベルだ。

スポーツモードは出力特性が変わるだけで、個人的にはステアリングに手ごたえが増すといいのではと思ったが、その加速はBEVらしくスムーズかつ気持ちのいいもの。公道では終始、十分なパフォーマンスを発揮してくれた。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 編集

    平井大介

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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