【フィアット600e初乗り】この子は連れて帰らないとダメかも……!

公開 : 2024.09.24 17:05  更新 : 2024.10.02 13:43

イタリアはデザインで勝負

AUTOCAR UK編集部が伝えたように、イタリア本国では500eの生産が一時ストップ。半導体不足、進まぬインフラ整備、揺らぐ各国の電動化政策など、外的要因に翻弄されながら、世界的にBEVは誰が見ても伸び悩んでいる。

そのため600eとプラットフォームを共有し同じ工場で生産するアルファ・ロメオジュニアランチア・イプシロンも、ハイブリッドモデルを用意。同じフィアットでいえば、BEVとハイブリッド2本立てのグランデ・パンダを出しつつ、現行パンダをパンディーナとして生産続行するなど、メーカーの動きは慌ただしい。

600eの見た目に惚れたら、BEVをデザイン買いすればいいだろう。
600eの見た目に惚れたら、BEVをデザイン買いすればいいだろう。    佐藤亮太

ここ日本でもインフラの問題はあるが、BEVの長期レポート車を抱えている筆者は、上手につきあえば十分に楽しめる、いや、今楽しまなければ損ではないかと思っている。

そんな中で600eは、必要な装備はひととおり備わっていて、逆にBEVにありがちな余計なものがついていない印象もあり、オーソドックスでシンプルなプロフィールは、その走り同様、ストレスを感じさせないものだった。それはエンジンの振動や音がなくなったことによる、BEVとしてのアドバンテージもあるのだろう。

いやそれでもエンジンがいいという方はハイブリッドを待てばいいし、スタイリングに惚れたら、BEVをデザイン買いすればいいだろう。確かに決してリーズナブルとは言い難い価格設定だが、撮影中にまるで動物のように愛らしい顔で見つめられて、「この子は連れて帰らないとダメかも……」と思ってしまった。個性の差をつけにくいBEVカテゴリーにおいて、イタリアはデザインで勝負! という、昔も今も変わらぬ底力を見せつけてきたのである。

記事に関わった人々

  • 撮影

    佐藤亮太

    Ryota Sato

    1980年生まれ。出版社・制作会社で編集経験を積んだのち、クルマ撮影の楽しさに魅了され独学で撮影技術を習得。2015年に独立し、ロケやスタジオ、レース等ジャンルを問わない撮影を信条とする。現在はスーパーカーブランドをはじめとする自動車メーカーのオフィシャル撮影や、広告・web・雑誌の表紙を飾る写真など、様々な媒体向けに撮影。ライフワークとしてハッセルブラッドを使い、生涯のテーマとしてクラシックカーを撮影し続けている。佐藤亮太公式HPhttps://photoroom-sakkas.jp/ 日本写真家協会(JPS)会員
  • 執筆 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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