未来が明るく見えちゃうBEV! ミカ・ミーオンへ試乗 実は本気で楽しいオープン・スポーツ

公開 : 2024.10.12 19:05

シンプルで小さく、運転が楽しい電動ビーチバギー、ミーオン ちゃんと設計すれば素晴らしいクルマに 意外と広い車内と快適な乗り心地 魅力的なスポーツカーだと英編集部は評価

シンプルでコンパクト、運転が楽しいビーチバギー

「ビーチバギーの見た目で、欠点をすべてなくしたクルマを想像してください」。魅力的なライトウエイト・スポーツカーを発表した、ロビン・ホール氏が説明する。

彼は、自動車開発の技術者として数10年に及ぶキャリアを持っている。その一部をご紹介すると、BMWグループになったばかりのミニやX350型ジャガーXJの駆動系に、ランドローバー・ディスカバリー2のシャシー全体などだ。

ミカ・ミーオン(英国仕様)
ミカ・ミーオン(英国仕様)

独立後は、軍用車両やサーキット用のシングルシーター・レーサーも設計した。英国の小さなスポーツカー・メーカー、ウェルズのヴェルティージュも仕上げたばかりだという。彼ほどの実力があると、引く手あまたなのだろう。

そんなホールは、グレートブリテン島中部のウォリックシャー州に広い敷地を用意した。自分のビジョンを具現化する自動車メーカー、ミカの拠点とするために。そこで作られるのが、今回試乗したミーオンだ。

これは、シンプルでコンパクト、機能性を重視した、運転が楽しい電動ビーチバギー。低炭素技術に特化した非営利団体のセネックスと共同で、政府の助成金を得ながら開発されている。

当初から、バッテリーEVが想定されていた。水平対向エンジンを積んだ試作車の存在も認めるが、あまり良くはなかったらしい。また、フォルクスワーゲンビートルの改造ではない。基本的に、すべて独自開発されている。

ちゃんと設計すれば素晴らしいクルマに

「オリジナルのビーチバギーを運転した経験があれば、シャシー剛性の弱さや、エンジンの非力さ、人間工学の不完全さなどをご存知でしょう。ちゃんと設計すれば素晴らしいクルマになると、以前から考えていました」

ミーオンのシャシーは、ボックス構造のスチール製。強化も兼ねたセンタートンネル部分に、20kWhの駆動用バッテリーが載っている。

ミカ・ミーオン(英国仕様)
ミカ・ミーオン(英国仕様)

初めから、大人のおもちゃだという方針を硬め、航続距離には強く拘られていない。駆動用バッテリーは小さいが、車重は700kgを切る。軽く小さく、多くのバッテリーEVが抱える欠点を排除できている。

現実的な航続距離は、100kmから160kmの間らしいが、それはドライバーの楽しみ方次第。「週末の朝のドライブや、地元のカーミーティングへ向かうには、充分な距離だと思います。これが多くの人にとって、休憩なしで走れる距離でしょう」

急速充電は、最大60kWまで対応。20分ほどで、フル充電になる計算だ。

ビーチバギーそのままのボディは、FRP製。カエルの目のように突き出たヘッドライトがチャーミングで、クロームメッキの部品が各部を引き締める。オリジナルの雰囲気を維持しつつ、軽さと運転の楽しさを求めて、余計なアイテムは基本的にない。

とはいえ、ドアもないバスタブ状のボディや、上質とはいえない内装を見て、お値段に疑問を感じる読者は多いだろう。1台、7万5000ポンド(約1440万円)だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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