未来が明るく見えちゃうBEV! ミカ・ミーオンへ試乗 実は本気で楽しいオープン・スポーツ

公開 : 2024.10.12 19:05

意外と広く快適な車内 しなやかな乗り心地

ボディは低く、乗り降りは簡単。サベルト社製ステアリングホイールの後ろへ腰を下ろすと、車内は意外と広い。筆者の身長は190cmほどあるが、自然な運転姿勢を取れる。センタートンネルとボディサイドが、ちょうど肘掛けになる位置へ来る。

シートの後方には、ケータハムでは叶えられない、広い荷室。フロントガラスは高く、筆者の背丈でも向かい風に悩まされることはない。長距離移動も、苦ではないだろう。ソフトトップなどは用意されないが。

ミカ・ミーオン(英国仕様)
ミカ・ミーオン(英国仕様)

ペダルの位置は、もう少し調整が必要かも。ちょっと手前すぎ、左へオフセットしている。恐らく、ミカのスタッフへそのことを相談すれば、対応してくれるだろう。ハンドビルドのバッテリーEVだから、機械的な自由度は高いはず。

ダッシュボード中央に、スミス社製アナログメーター。ステアリングホイールの奥には、エネルギーフローを表示するデジタルメーター。運転に必要な情報は、すべて得られる。

ミーオンの特長といえるのが、しなやかな乗り心地。機敏な身のこなしとの組み合わせは、アリエル・ノマドへ近い。ホールは自身のクルマでも、常にソフトなサスペンションを好んできたという。軽量で重心位置が低く、アンチロールバーは不要とのこと。

巨大なアルミホイールは、クラシックなフックス風。車高は低く見えるが、シャシー剛性は高く、滑らかにウイッシュボーンは動き、垂直方向の入力が巧みに吸収される。

スポーツカーとして間違いなく魅力的

ステアリングに、パワーアシストはない。レシオは丁度いい塩梅で、手応えがしっかりあり、重すぎず扱いやすい。レスポンスも良い。横方向のグリップ力と、姿勢制御のバランスも理想的。公道を前提としたスポーツカーとして、絶妙な設定にあると感じた。

タイヤは、フロントがミシュラン・パイロットスポーツだが、リアはミシュラン・ラティチュードというSUV用。アクセルペダルの加減でのライン調整を狙ったチョイスで、低速コーナーや未舗装路では、実際に面白さを引き出せた。

ミカ・ミーオン(英国仕様)
ミカ・ミーオン(英国仕様)

最高出力は218ps。80km/h前後までは、加速はかなり鋭い。英国の郊外を軽快に駆け抜けるには、充分な動力性能だろう。もちろん、ほぼ無音だ。

操縦性ではクルマとの一体感が高いものの、やはり電気モーターのパワー感は味気ない。それでも、ミーオンはスポーツカーとして間違いなく魅力的だと思う。仮に内燃エンジンを想定していたら、恐らく販売には至らなかったはず。

自動車業界へ迫られている、ゼロ・エミッション。厳しい現実へ耐える必要性は間違いないが、ミーオンには耐えられそうな楽しさも備わる。

相当にニッチなモデルで、リッチなドライバーしか手は出せないかもしれない。それでも、経験豊かな技術者によって、未来が明るく感じられる成功作へ仕上がっている。

ミカ・ミーオン(英国仕様)のスペック

英国価格:7万5000ポンド(約1440万円)
全長:3061mm
全幅:1613mm
全高:1177mm
最高速度:161km/h
0-100km/h加速:3.5秒
航続距離:161km
電費:8.0km/kWh(予想)
CO2排出量:−
車両重量:675kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:20kWh
急速充電能力:60kW
最高出力:218ps
最大トルク:31.6kg-m
ギアボックス:1速リダクション(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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